初夏の僕

梅雨も終わり、初夏がやってきた。


「暑い…」


講義が終わり午後4時。

今日はこの前発売したばかりの新作のゲームをプレイしたいから早く家に帰る予定だ。


「おーい!」


ん?遠くから明莉さんの声がするような気がする。

僕は振り返った。

というか周りの人たちは振り返っていた。

そこには明莉さんが例の男の子を呼んでいるようだった呼んいるようだった。

しばらく見ていると…


「!?」


なんと明莉さんが例の男の子の手を握ったのだ!

僕は思わずびっくりしてしまい口が開いてしまった。

すると今度はもめているような言い合いをしている。

僕と同じ周りにいる人たちは足を止めてみていた。

すると


「いいから早く!」


という男の子の声が聞こえてきて二人は手を握ったまま走り去っていってしまった。

僕は少しショックを受けたが前ほど凹んだりはしやかった。

なぜかはわからないけど。


「あんな大胆に野田さんを連れ去っていくなんて。彼、やるね…」

「うわ!びっくりした!」


突如後ろから悠星が現れた。

ほんと、びっくりした。

さっきからびっくりしてばかりだな、僕。


「あれは噂というか話が広まるのはあっという間だろうね。」

「というかもう広まっていってるんじゃない?」


周りに耳を傾けると明莉さんのことを言ってる会話が聞こえてきた。


「野田さんの手を繋いで走っていったぞ。」

「あれ、彼氏か?でも彼氏がいるなんて聞いたことないぞ。」

「おれ、野田さんの事好きだったのに…」

「うおぉ!野田さーん!好きでしたー!」


猛烈な告白をしてる子もいるし。

みんな明莉さんのことが好きなんだなぁ。


「それで?君はどうする?あんな現場をみて野田さんをあきらめるかい?」

「悠星、僕は確かに弱い。ほなけど変わりたいんだ。今ここで諦めたら絶対後悔すると思うんだ。」

「さすが!だから君から目が離せないんだ!」


こんなにも言ってくれるなんて…うれしいな。


「それで僕が言ったこと毎日やってるかい?」

「もちろん!朝起きたら顔洗って鏡を見る。そして『僕は出来る』という。」

「それから?」

「一日のダラダラ過ごすのではなく朝に一日の行動を考え出来るだけその計画通り動けるように行動する。」

「うん、ちゃんとできてるようだね。梅雨初めのころと比べると猫背も治ってきてるし、はきはきと喋ってる。」

「そう?」


自分では全く気付かなかった。

でも店長から前よりもっと明るくなってきたって言ってもらえたし、そうなのかもしれない。

また少し自分に自信がついてきた。


「君を見てると僕も頑張ろうと思えるんだ。」

「もしかして悠星にも好きな人とか?」

「…僕にもあったのさ、諦めたくなかったことがね。」

「?」


そういって悠星は太陽を手でかくしながら空を見合上げた。

太陽の光と上を向いてたからはっきりと見えなかったが少し寂しそうな顔をしていた気がする。


「じゃあ、僕は行くよ。君もこんなとこで突っ立てていいのかい?」

「僕も帰るよ。なんだかやるべきことが見えてきたような気がする。」


夏は始まったばかり。

これから暑くなっていくこの夏をどう過ごそうか。

きっと今の僕の顔は自信に満ち溢れている顔をしてるだろう。

この夏を素敵なものにする。

僕の大きな目標が出来た一日となった。

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