ゴールデンウィークの僕(最終日)
ゴールデンウィーク最終日。
今日は朝からバイト先が入っているモールへ来ていた。
今日の目的は明莉さんと仲がいい男友達?のバイト先へ行きどういった関係か聞き出すことだ。
「ここか…ってか僕がバイトしてる店の真上じゃん!」
僕がバイトしている服屋が2階でその真上にこの靴屋があった。
こんな近くにいただなんて。
お店に入ると情報通りのというかこの前ラーメン屋で目が合った子がいた。
やっぱり兄弟でもなんでもなかったのか。
「あの、すみません。」
気が付くと僕は声をかけてしまっていた。
まだ心の準備もできていないのに。
「どうされましたか?」
「あ、あの、あか、あか…」
どうしよう、明莉さんのことを聞きたいのに声が詰まってしまう。
でも聞かないと…
「…赤色の靴でおすすめとかありませんか?」
って何聞いてるの!?
僕が聞きたかったのは赤色の靴じゃなくて明莉さんのことなのに。
ほら、この人も困ってるじゃん!
「…あ!はい、赤色の靴でございますね。でしたらNOIKIの靴はどうでしょう?」
「あ、じゃあ、それちょっと見せてください。」
「かしこまりました!出してきますので少々お待ちください。」
しまったぁ、これじゃあ靴を買いに来た人じゃん!
どうしよ、どうしよ…
僕は急いで店を出てフードコートエリアに向かって走り出してしまっていた。
***
フードエリアにつくとバイト仲間の…今思うと彼を名前で呼んだことなかったよね。
彼は浜 悠星。みんなから悠星や悠と呼ばれてるよ!
「おや?ずいぶん早かったじゃないか。もっとかかると思ってたのに。」
「それが…」
僕はさっきの出来事を全部話した。
「…はぁ、君は肝心な時にひよってしまうようだね。」
「だって…怖くて…」
「そうだね。確かにこれは怖いことかもしれない。…でも君は野田さんのことが好きなんだろ?」
「好きだよ…わかってるさ、このままじゃダメなことも。変わろうとしてるんだ!でも肝心な時にこれじゃあ、まだまだだよね…」
彼は立ち上がり、
「アイスを食べよう。」
「…ん?」
アイス?なぜこの空気でアイスなのだろうか?
たぶん彼なりに何かあるのだろう。
「僕はここの32アイスが大好きでね。うれしいことがあった時、悲しいとき、困ったときにここのアイスを食べるんだ。」
「はぁ。」
「だから今日はアイスを食べよう。」
どうやら僕を気遣ってくれてるようだ。
ほんと優しい子だよ。
「君はアイスを食べるとき何か考えながら食べるかい?」
「いや?おいしいなぁくらいやけど。」
「僕はね、アイスが溶け始めると人生みたいだなって思うよ。」
ほう、人生。
けっこう深いね。
「僕はね、溶け始めるとあせって食べないとって思うんだ。これって人生にも恋にも似てると思うんだ。」
「ん?うん?」
「つまり少しは焦ったほうがいいかもしれないということだよ。まぁ、焦りすぎはうまくいかないけどね。」
「んー…難しいな。」
「そのための僕がいるだろ?」
僕にはほんとうに頼もしい味方が付いているみたいだ。
こんなにも友達の存在をありがたいと思ったことはないかもしれない。
「…悠星、ありがとう。」
僕はお礼を言うと悠星は少し微笑み、溶けだしたアイスを急いで食べていた。
最近では悠星に相談やアドバイスしてもらってばかりだ。
ゴールデンウィークも今日で終わり。
明日からまた学校だ。
また明日からチャンスを狙っていこう。
今年のゴールデンウィークを僕は忘れないだろう。
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