ゴールデンウィークの俺(3日目)

ゴールデンウィーク三日目、現在時刻午前11時。

初日は明莉に振り回され、昨日は実家に帰っていたということもあり二日間ともバタバタしてゆっくりできなかった。

だからこそ、今日はバイトの時間までゴロゴロするって決めてるんよ!

だって今も布団の中やもん!


ドンドンドン!


ドアをたたく大きな音がする。

やけどこれは幻聴やと信じ込み布団の中に潜り込んだ。


「あけーてーやー!ゲームしようやー!」

「聞こえない、聞こえない、俺にはなんも聞こえてきてない。」

「あけてくれな変なこと叫ぶで、それでもいいかー!?」

「!?」


明莉のことだ本当に変なことを叫ばれそうで怖いな。

今回は仕方なく開けるとしよう。

そして俺はいやいや布団から出てドアを開けた。


「鍵を持ってないのは不便だ!鍵をよこせ!」

「…ゑ?」

「アパートの鍵よ!予備とかあるんやろ?」

「あるにはあるけど、明莉さんが常に持っておくという解釈で間違いないでしょうか?」

「YES]


そんなネイティブに発音されても困るのだが…

そして俺も変な文字の【え】が出てしまった。

でもまぁ、明莉は俺がバイトで帰りが遅いときとかは軽く片付けや洗い物をしてくれているし…


「いいよ、明莉は信用できるからね。」

「え、ほんまにいいん?軽い気持ちで言ったつもりやったんやけど。」

「いつも洗い物とかしてくれてるだろ?バイト帰ってきたときとかすごく助かるからいいよ。」


そう言って俺は鍵を渡した。

これでドアをドンドンたたかれて起こされることもないだろう。


「なんかつき…」


そう言って明莉は途中で言葉を止めた。


「ん?どうしたん?」

「い、いや、別に!何でもないで!」

「そう?とりあえず上がってなんか飲みなよ。暑くて喉乾いてるんちゃう?」

「そ、そうやな!なんかごっつあつなってきたわ!なんか飲みもんちょうだい!」


うん、うん、いつも通り?の明莉に戻ったようだ。

明莉はやっぱり元気なほうが可愛くて似合うな。

そして明莉は冷蔵庫に入っているお茶のペットボトルをがぶ飲みしだした。


「あー!おいし!今日はなんのゲームしようかなぁ!」

「よかったらさ、今日はこのゲーム一緒にせん?人気ゲームキャラクターのパーティーゲームなんだけど。」

「やろう!君から一緒にゲームやろって珍しいし!」

「ほなけど俺、一時半から七時半までバイトやけどどする?]

「ゲームしながら待っとくわ。ちょうど前の一人用のやつ進めたかったんよ。」

「うい。かしこまり。」


そして昼前までゲームをして俺はバイトへ向かった。


***


バイトが終わり俺は帰り支度をしていると


「どしたん?今日は帰り支度ごっつ早いやん?」


バイト先の先輩が声をかけてくれた。

この人は俺がなれてないバイトに戸惑っていてもゆっくり丁寧にいろいろ教えてくれるとても親切な先輩だ。


「まぁ、家で帰りを待ってる人がいて。」

「ん?彼女か?うらやましいなぁ。お前はなかなかイケメンだしバイク乗ってるし…」

「いや、彼女ではないですね。なんていうか…」


今思うと俺と明莉はどんな関係なんだろうか。

大学の同級生でゲーム友達で、俺のアパートの鍵を持ってて…


「彼女じゃないのか…最近お前変わってきたから彼女でもできたのかと思ったぞ。」

「い、いえ、すみません、ちょっと用事あるので今日はこれで…」

「お、おう、止めて悪かったな!気を付けて帰れよ!」

「すみません、先に失礼します。」


俺はモール内を歩きながら考え事をしていた。

明莉との関係、この前ラーメン屋でこちらを見ていたあの人は明莉のことが好きなのだろうか。

好きって、恋って難しいな。

いろいろ考えてみたが恋の一つもしたことない俺にはわからないことだった。


とりあえず今は帰ろう、明莉が待っているしな。

今すぐ答えを出すようなことではないかと自分の中で終わらせて俺はバイクのエンジンをかけた。



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