ゴールデンウィークの俺(初日)

ゴールデンウィーク初日、9連休もあるので今日は昼まで寝る予定でいた。

が、案の定俺の睡眠は明莉によってその予定は壊された。


「うおぉ!ぶっとべー!」


明莉は人気キャラクターを操作し戦うアクションゲームに夢中になっていた。

その横で俺は布団にくるまり寝ようとしていた。

しかし明莉の叫び声によって眠りを妨げられる。


「あの、明莉さん、俺が眠れないのですが…」

「えー、起きてよー、ゲームやろうよー。」

「くそぉ、もっと大きい部屋のアパートを借りるべきだった。」


俺の部屋は1Kのため一部屋で食事、ゲーム、睡眠をとるため明莉が隣でゲームをしていると眠れない。


「私はこの部屋のサイズ好きだよ、君との距離が近いからねー。」

「へー、へー、ゲームをしてくれる相手を起こせれるけんねー。」


俺は毛布に潜り込みながらそう言った。

すると明莉は黙ってしまった。

毛布から少し顔を出して明莉の顔を見てみるとしょんぼりした顔をしていた。


「どしたん?しょんぼりして。」


明莉は俺の枕を奪いその枕で俺を殴ってくる。


「痛い、痛いっす。」

「バカヤロー!今からリアル大乱闘だー!」

「いや、これ単なる暴力じゃ…、わかったわかった。一緒にゲームやるけん、な!」


そういうと明莉の手は止まった。


「うむ、その旨良しとする。」


そしてリアル大乱闘は終わりを告げたのであった。


***


「さてと、着替えてご飯にでもするかな。」

「食べに行こう!」


そう言って明莉は突然立ち上がった。


「今日は食べに行こう!たまには贅沢をしようではないか!」

「あ、はい、そっすね。で、何が食べたいん?」

「ラーメン!」


贅沢と言ってラーメンか…

だが、たかがラーメン、されどラーメン。

貴様ら!ラーメンをなめるなよ!

と俺は誰に言っているのだろうか。


「へーい、着替えるから外で待っててねー。」

「早くしてよねー。」


着替え終わり外へ出ると明莉は駆け足をしながら


「はやくはやく、バイクだしてー!」

「少々お待ちを。」


そして俺はバイクを引っ張り出してきた。

俺の愛車CBR250RRだ。

中学、高校とお年玉をずっとためて親戚のお兄さんから購入したバイクだ。


「では参るとしましょうか。」

「ラーメン、ラーメン!」

「でどこのラーメン屋?」

「駅前の人気店へレッツゴー!」

「かしこまり。」


***


「いらっしゃーい!っと明莉ちゃん!今日は休みなのにバイトに来てくれたのかな?」

と店主の様な見た目の男性が厨房から顔を出して明莉に話しかけている。

ほほう、ここが明莉のバイト先。

「ちがいますー、今日は客としてきましたー。」

「そうかい、そうかい、サービスしちゃうぞー。ところで隣のお兄さんは彼氏かい?」

「内緒!」


彼女は明るく、社交的な性格だ。

きっとファンのお客さんもいるだろう。

ファンの皆様申し訳ございません。

でも別に彼氏ではないので許して下さい。


「徳島ラーメン二つで1つは大盛でお願いね!店長!」

「あいよ!」


俺たちは席に付きゲームの話をしているとドアが開きまた新しいお客さんが入ってきた。

ふいに振り向くとそのお客さんはこっちを見てびっくりした顔をしている。

けれど俺と目が合いすぐにそらされた。

ファンの人に遭遇してしまっただろうか?

でもさっきも心の中では言いましたが彼氏ではないので許して下さい。

と心の中で一人考えていると


「徳島ラーメンおまたせ!」


店長自ら席に運んできてくれた。

そこには地元の名物の徳島ラーメン。

濃いにおいが俺の鼻に入ってきた。


「店長、半熟煮玉子サービスしてくれたの!ありがとうございます!」

「明莉ちゃんがいるからうちの店も儲かってるとこあるからよ、サービスよ、サービス!」

「あざっす!」


店長の好意がすごくうれしかった。

では冷めないうちに頂こうかな。


「「いただきます!」」


明莉と同時にラーメンをすすりだした。

これこれ、やっぱ徳島ラーメンはこの味よ!


俺のゴールデンウィーク初日はゲームしてラーメン食べてと明莉に振り回されたがこんな日も悪くない。

明莉に感謝、感謝。

明莉と出会って少しずつ変わっていく日常。

これからもっと変わっていくのだろうか?

でも明莉となら変わっていってもいいかもしれない。

ゴールデンウィークは始まったばかり、明日が楽しみだ。



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