公園の僕
4月中頃、今日は土曜日でバイトもなかったので遊びに行こうとした。
いつもバイトでショッピングモールに行くので今日は駅の方へ行くことにした。
「徳島だからね、遊びに行くところ少ないんだよ…」
僕は徳島生まれの徳島育ちだが実家は田舎の方で家の周りは田んぼと山だらけのところだった。
大学に入学してからは市内の方へ引っ越してきたが結局田舎にいるのとあまり差はなかった。
「もっと徳島も遊べる場所があればなぁ…」
なんて思ったが友達は少なくみんな田舎にいるので遊びに行くなんてそうそうないが…
「明莉さんと付き合えたらな、なんて。」
明莉さんは休日どんなことしてるんだろ?
いつかデートに行けたらなんてね…
***
なんて考えながら歩いていると公園にさしかかった。休日の朝。
子連れの家族たちが多い中公園内の道を進んでいく。
すると遠くから
「くらえー!殺人ボール!」
なんて言葉が聞こえてきた。
「ははは、小学生かな?僕も小さい時はよくそんなこと言ってたな。」
そういえば小さいころにグローブを買ってもらったことがあった。
どこにいったのかわからないが今度実家に帰った時に探してみよう。
そう思い気づくと母に電話をかけていた。
「あ、もしもし母さん?僕だけど。」
「僕?私の息子に僕なんて子いたかしら?」
「そういうのはいいから!で、本題だけど小さいころにグローブ買ってくれたことあったよね?あれどこ行ったか知らない?」
「あー、あれね。そんなこともあったわね。多分倉庫にあるわよ。じゃ、私忙しいから切るわね。ぐっばーい。」
元気な母で何よりだけど冗談も休み休みに言ってほしいよね、全く。
「あ、」
母の声を聴いて思ったのが髪の毛をずいぶんと切ってない。
いつもは地元の散髪屋で切っていたから忘れていた。
もう半年以上来てないから前髪も目にかかりずいぶんもっさりしていた。
「今日、髪の毛切るのもいいかもな…」
とりあえず一度家に帰って散髪台を取りに行こう!。
そう思い来た道を戻ろうとするとベンチに座っている男女二人が目に入った。
「あの女の人の後ろ姿…」
いつも大学で追いかけてしまう後ろ姿、以前ラーメン屋で髪をひとくくりにしていた明莉さんそっくりだった。
でも隣には金メッシュの男の人。
しばらく見てしまった。
すると男の人が振り向き目が合ってしまった。
僕はそそくさと逃げる様にその場を去った。
女性の方の顔は見てないので明莉さんかわからなかった。
違うといいなと思いながらも僕の心の中には不安がやってきた。
とりあえず今は髪を切って少しでも変わろう!
少しずつ変われているかな?と思いつつ家に帰った。
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