公園の俺

4月中頃、今日は土曜日でお互いバイトも休みだったから俺は明莉と公園に遊びに来ていた。


「くらえー!殺人ボール!」

「いったー…」

「どうよ!ソフトボール部で鍛えたこの私の殺人ボール!」

「部活中に死亡者がおらんのが奇跡やわっと」



***


朝9時、明莉はいつも通り俺のアパートに乱入してくるなり


『キャッチボールをやりに行くぞ!そーれ!起きろー』

『うま!?まだ眠いっす。あと一時間だけ。』

『あまい!うんまい棒のコーンポタージュ味よりあまい!』


***


そして今に至る。

「へへーん、痛いでしょー!練習はじめはキャッチボールで体を温めるんだけどみんな痛いのを嫌がって本気で投げさせてくれなかったんだよねー。」

「で、俺なら本気で投げていいと?」

「だって君には貸しがあるからね!」

「え?貸しなんてないやろ?むしろ俺が貸しを作ってると思うんやけど。」

「何を言ってるんだい!うんまい棒を大量に買ってあげただろう!」


3本でいいと言ったのだが大量に買うと言ったのはそういうことだったのか。

あのときは明莉がどんな子か知らなかったから優しい子なんだなと思ったがどうやら違ったようだ。


「あのとき君にペンと消しゴムを貸したこと後悔してる。」

「おいおい、美少女にペンと消しゴムを貸すなんて人生であれが最後だったかもしれないんだよー。むしろ感謝してほしいね。」

「へーへー、感謝してますとも。ところでもう1時間くらい投げてますよー。休憩しましょうや自称美少女のお姉さん。」

「しゃーなしよー。」


***


自販機で飲み物を買ってきた俺たちはベンチに座って休憩することにした。

俺は運動後なのでスポーツ飲料にしたが明莉は…

「明莉さん?運動後に甘ったるいバナナオレを飲むんですか?」

「バナナオレうまいんよ!特に運動後はね!」

「際ですか。」


隣に座っている明莉を見ると今日は運動しやすくするためか髪をひとくくりにしてまとめていた。

普段は降ろしているかハーフアップにしているかのどちらかだから新鮮だった。


「明莉は髪の色黒のままだし綺麗な髪じゃよな。」

「なに?急に?ま、綺麗なのは当たり前だけど。そういう君は金髪メッシュと少しヤンなキーに見えるような髪色だね。ピアスまで開けちゃってさ。」

「おいおい、このお茶目でキュートな俺のどこにヤンなキーに見える要素があるんよー?」

「もうね、全部。」


そんなくだらない話をしていると視線を感じたので俺は振り返った。

そこには同い年位の男の子がこっちを見ていた。

俺と目が合うなり目線をそらしどこかへ去っていった。


「どしたん?後ろなんか見て。なんもないのに。」

「いや、何でもないよ。それで?まだキャッチボールはしますか?」

「んー…帰ってゲームをやろう。」


こうして俺たちのキャッチボールは終わり俺の手には平和が訪れた。

今回は明莉にグローブを貸してもらったからか少し小さかったが自分用を買ってもいいかもしれない。

結構楽しかったからまたやりたいと思った。







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