第11話 ドキドキしてる

『で、課題クリアしたんだろ?』


カメラをいじりながら葉月が笑う。

かじかは両手を伸ばすと頷いた。


『うん、今回はありがと。助かった。』

『そっか・・・で、俺はそれ何時見られるの?』


『え?』

『見せてくれる約束じゃん?』


『そうだっけ。じゃあ。』


かじかは鞄から小さなパソコンを取り出すと電源を入れた。

すぐに立ち上がりデータを呼び出すと再生した。

小さなネコと風景のアニメーションだ。


『おお、凄いじゃん。てか・・・上手だな。』

『そう?ありがとう。』


『うん、色合いとか最高。俺の好きな色だ。』


葉月が微笑むとかじかが頷く。


『そう、ネコにしたらって言ってくれたから。それに誰かのために作るっとモチベ上がるって言ってたでしょ?だから好きなのに寄せてみた。』


『そっか・・・。どうだった?』

『上がった。ってか・・・凄い楽しかった。』


『だろ?』


葉月が嬉しそうに笑うとかじかの胸がぎゅっと締め付けられた。


『うん・・・ありがと。』

『うん。俺もさ、今回は色々撮ってるけど、最高のができそう。』


『そうなの?』

『ああ、出来たら見せる。課題とは違うのでコンテスト用のやつ。応募するかはわかんないけど・・・。』


『応募しないの?』

『個人的に撮ってるからなあ・・・。』


『そっか。前のさ・・・賞取ったの素敵だった。』

『ああ、あれはさ、まぐれだと思う。いつもラッキーなんだって思ってる。だってさ、良い写真ばっかなんだぜ?丁度目に留まって選んでもらえた・・・そんな風に考えてるんだ。』


『謙虚なんだね。もっと自信満々かと思ってた。』

『まさか・・・いっつもドキドキしてるよ。今だって。』


『今?』


かじかが葉月の顔を見ると彼の顔が赤く染まっていた。

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