第4話 ともだち
『友達って?』
葉月と出会ってから二ヶ月が経とうとしている。
ランチを供にして友達と宣言した葉月はあれから時間があれば、かじかと過ごしている。
『うん?』
『だから、友達ってこんな感じなの?私男の子の友達いなかったから。』
『ああ、俺も女の子の友達はいないな。そういや。』
今日は休日ということもあり、葉月から誘われて紅葉を見に来ている。
カメラマンらしく彼はちょくちょく何かを見つけてはカメラを覗き込む。
『こういうのって・・・一人のほうがいいんじゃないの?集中できるの?』
『うん?』
『だから・・・撮影の邪魔にならないの?私は。』
かじかが足を止めると葉月はカメラを覗いたまま即答した。
『ならない。かじかはな。』
『それってどういう?』
『どういうって・・・かじかは邪魔しないじゃん。俺が好きにしてても怒らないし、大体は文句言うもんなんだ。せっかく一緒にいるのにってさ。』
『そうだろうね。』
カメラを下ろして葉月はかじかを見る。
『そう、分かってるのにそれをしないから。』
『・・・しないわけじゃ・・・。』
『怒ってんの?』
かじかは首を横に振る。こんなことに怒る意味なんてない。
『ほら。そういうとこ。』
葉月は優しく笑う。かじかの胸がドッと鳴った。
『居心地がいい。こういうの初めて、俺。』
友達ってこういうもの?
かじかの心を読んだのか葉月は悪戯っぽく笑った。
『そう・・・じゃなくてもいいよ?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます