第3話 とろけるアイス

翌日のランチで訪れたカフェ。

何故か目の前には葉月優雨がカレーを食べている。


どうしてこうなったのかはかじかにもよく分かっていないが、二度目ましての二人が合席している。


『冷めるよ?』

スプーンを口に運びながら葉月がかじかを見る。


『ああ、うん。』


とりあえず目の前のカレーに手をつけて口を動かす。


昨日の夜ははっきりとわからなかったけど、目の前の葉月優雨という男の顔をまじまじと見る。


女の子たちがキャアキャア言うのは間違いないルックスに、どこか無愛想な話し方。


いままでこんな雰囲気の男の子は傍にいなかったから不思議な感じだ。


『何?じろじろ見て。』


『え?ああ・・・ごめん。昨日はよくわかんなかったから・・・確認してる。』

かじかが淡々と言ったので葉月が笑う。


『何それ。睦原さん、面白い。』

『そう?っていうか・・・葉月君ってすっごい見られてるね?』


さっきから周りの視線が彼に注がれている。

傍にいるかじかに向けられる視線は冷たいが。


『うん?ああ、ごめん。俺、ファンがいるみたいで。』

『・・・へえ。』


かじかの反応に葉月が噴出す。


『面白・・・今までいなかったタイプだ。ふうん。』

『なに?』


カレーをすくったスプーンが止まる。

葉月の目が悪戯っぽく笑った。


『睦原・・・かじかだっけ?かじかって呼んでいい?』

『・・・え?』


『俺のことは優雨って呼んで。今から俺ら友達な。』


葉月はそう言うと楽しそうに頬杖をついた。

丁度ランチのデザートのアイスが二つ運ばれてくる。


『ほら、早く食べないと溶けちゃうよ。』

『ああ・・・。』


かじかは眉をひそめると急いでカレーを食べた。

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