第3話 僕の父さんは共犯者
その日はもう寝た。頭にダメージを受けてるということ、手術は体力を消耗すること、僕には睡眠が必要だった。
翌朝目を覚ますと両親がいた。
「怜悧!!おい母さん、怜悧が目を覚ました。」
「あー、、、」
母さんが抱き着いてきた。恥ずかしいし、頭が痛いからやめろ・・・とは言えないな。僕は母さんの頭をなでる、安心して離れてくれた。
「ごめん心配かけた。母さんありがと、心配してくれて。父さんもありがとう。昨日これなかったのも凛華姉の両親をなだめたりしてくれてたんだろ。」
「よせよ、父さんは当たり前のことをしただけだ。周りの話はいい。一番お前がしんどいだろ。」
「僕は悲しむ資格はないよ。」
「すぐそばにいたのに救えなかったからか?」
口調は疑問形だけど、父さんの眼には確信があった。
「・・・そうだよ。」
「そうか。お前はどうしたら泣ける?」
「・・・」
本当にわかってるなぁ。
「どうせ、もう目標を決めてそれを達成するまでは泣かないって決めてるんだろ。お前はそういうやつだ。」
「ああ、合ってるよ、父さん。だけど、」
「『これは僕がやらなくちゃいけないことなんだ』ってか。あのなあ、お前はすごいヤツだよ。将来、父さんを越える立派な大人になれるだろうさ。だけどな、お前だけが頑張らなくちゃいけないわけじゃない。わかるな?」
父さんの言い分は最もだ。だけど、だけど、
「それでも僕はやりたいんだ。何をとは言えないけど。それでも、」
「ああ、いい。わかった、わかったから。お前の気持ちは分かった。」
父さんは僕の耳元で言った。
「おおかた、あのクソ野郎に復讐だろ。」
!?そこまでわかっちゃうのか。
「父さんがお前でも同じことはする。だけど、殺しはダメだ。絶対に。いいな。それが約束できるなら、俺はお前に協力する。」
「ふふっ、父さんにはまだ敵わないや。」
「今は、だろ。大丈夫だ。お前は父さんを越えられるさ。今まで父さんが言ったことが外れたことあるか。」
「競馬。」
「それ以外で。」
ないな。競馬だって掛け金は1000円。それでギャンブルからは足を洗った。
「うん、先は長い。父さん、頼りにするよ。」
「いい返事だ。ほらよ。」
黒い巾着袋を手渡された。機械?
「さて、用も済んだし、母さん帰ろう。」
退室する二人。一人取り残された僕は、袋の口を開け、中身を確認する。
「小型カメラ、ボイスレコーダー、あと新聞と文春、連絡先。」
今朝の新聞の見出しは、「田舎の少女、人気俳優女優夫婦の娘を身を挺して救う。」ふざけんな美談にしやがって。
「ああ、それで文春ね。」
はは、父さんもそのつもりじゃないか。父さんたちが出て行ってしばらく経って院長先生がやってきた。
「体は大丈夫か日暮さん。」
「ええ、おかげさまで。」
そう言うとまた昨夜のように
「すまない、すまない、s」
「許しませんが謝らなくても良いですよ。そんなことより、建設的な話をしましょう。世間一般的にみたら破滅的かもしれませんが。」
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