第4話


 あなたが笑顔を浮かべたまま、手のひらを私に向けるから、わたしはその手に、手のひらを勢いよくぶつけた。パチン、といい音が鳴って、手のひらがほんのり赤くなる。ジーン、と痛みが走って、二人の笑い声がわたがしの雲に届きそうなほど、高く、高く昇っていく。

「さ、釣りたてほやほやのうちに、食べようよ!」

「うん!」

 わたしの身体を受け止めてくれたマシュマロに、二人して腰掛けた。さすがに、二人で座るには小さい。けれど、別に、これでいい。あなたとわたしはもう、お尻の半分しか座れないとしても、一緒に座ることに価値を見出せる関係だから。

「はーんぶーんこっ!」

 あなたの半分こは、ちょこっと下手くそ。だけど、すこし大きい方をわたしにくれるあなたは、とっても優しい人。

「いただきまーす!」

「いただきます!」

 釣りたてほやほやのチョコレートは、まわりにこんぺいとうのかけらを纏っていた。あまくて、とろけた。


「お腹も心もいっぱーい!」

 満足して、ココナッツに横たわる。

 ふんわりと、身体が包み込まれて、あったかい。

 ふんわりと、甘い香りがして、幸せな気分。

 見上げた空には、わたがしの雲。雲がすぅっと泳いでいくと、マカロンが顔を出した。

 今日は、いいお天気だ。

 あなたの顔を、ちらりと見てみる。

 ほわわ、と大きなあくび。

 わたしもつられて、ほわわ、とあくび。

「ねちゃいそう」

「おやすみぃ」

「なんか、軽いなぁ」

「えへへ」

 ほかほかのココナッツに溺れながら、目を閉じる。ああ、歯磨きしてないや。ま、いっか――。



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