第6話 怜太VS悠真
「———相変わらず化け物みたいな異能だな」
真希ちゃんの異能によって何十倍にも拡張されたただでさえ広かった訓練場の中をぐるっと見渡しながら呟く。
彼女の異能は俺も詳しく知らないが……異能の等級は最高位のSS級であることは間違いないだろう。
そもそも空間の拡張と転移の片方でS級以上の能力はあるのだから。
しかしそんな空間に次はハゲ主任によって20程の立方体型の結界が張られる。
これによって20組が一気に戦えるようになった。
ハゲで口煩いと評判の主任だが、伊達に学年主任を担っているわけではないらしい。
好きか嫌いかはまた別問題だが。
「それぞれの組の最初の5組は結界の中に入れ!」
学年主任の言葉で、ぞろぞろと最初の5組が結界の中に入っていく。
「さぁ、怜太! さっきの脛蹴りのお返しと行こうか」
「器のちっせぇ男だな、悠真。そもそも十傑が序列10位台にもいない俺を相手にガチるなよ? ダセェからな?」
かくいう俺達も最初の5組の内の1組なので、お互いに挑発し合いながら結界の中へと入る。
結界の外を見れば、恋花や他のクラスメイト達、別のクラスの生徒達も俺達を見ていた。
「……これだからお前との戦いは嫌なんだよ。目立つったらありゃしない」
「おいおい俺のせいにすんな。お前だって開校以来初めて———F級異能で十傑に勝った男だろ。注目されても当たり前だろ?」
「よーしさっさと始めようか!」
悠真に言われ、俺は話題を変えるんべく速攻で『黒天使』と『白悪魔』を構える。
あれはもう触れたくもない過去なので、普通に話題に出すのはやめて欲しい。
しかし、そもそも悠真は俺のやる気を出させることが狙いだったらしく……ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「へっ、やっとやる気になったか。ならこっちも———【
悠真が異能名を唱えれば、彼の身体を膨大な魔力が駆け巡る。
そして魔力が一気に外に放出されると、途端に2本の光で出来たロングソードが生成され、此方に剣先を向けて宙に停止した。
これこそが悠真の異能、【
悠真を十傑第2席に足らしめた限りなく最強に近いSS級の異能力である。
「はっ———相変わらずピカピカしてんな、おい」
ただ、流石にタダで負けてやる俺でもない。
俺もバレない様にスキル———【視力強化】【狙撃】【弾丸強化】【射撃強化】などなど……様々な必須スキルを発動。
因みに、俺がスキルを大っぴらに使わないのにはそれなりに理由がある。
まずは『千差万別の仮面王』だと勘付かれないため。
そして2つ目は———スキルは俺だけが使えるから。
おっと、勘違いするなよ。
スキルは決して良いものじゃないからな?
スキルは所謂異能の劣化版みたいなもんだ。
予知スキルもそうだが……異能とは違って融通が効かない。
例えば【炎矢】は、同じ魔力量、同じ威力のものしか放てない、などだ。
後は……同じ効果なら異能に押し負けるのと偶に制御不能のモノがあるくらいか。
「さて———行くぞ」
悠真の声が俺の耳朶に触れる。
その時既に、悠真の光のロングソードが迫っていた。
しかし、俺も既に引き金を引いている。
———ギャリィィィィィィィィィ!!
光剣の切っ先と弾丸の弾頭が俺達の中間でせめぎ合う。
「……っ、相変わらずクソ速いな……化け物め」
「幾ら光より遅いとしてもこれに反応できるお前も十分やべぇよ」
「お褒め頂き光栄だな……!!」
俺はそう吐き捨て、2丁共発砲。
スキルによって格段に威力の増した弾丸が音速を遥かに超えて飛翔。
それを悠真は指一本動かす事なく光剣で弾いた。
「おいおいこんなもんかよ怜太! それくらいなら直ぐに勝っちまうぞ!」
「うっせぇぞクソイケメン! 俺とお前の相性は最悪なんだよ!」
俺は後ろから迫る光剣を横に避けながら更に連続で2発撃つ。
しかし悠真を守る光剣が弾き飛ばした。
だが、その時。
弾き飛ばされた2つの弾丸と入れ替わるように弾丸が飛翔していた。
「食らいやがれ……!!」
「はっ、そんなもん———っ!?」
———ドカーンッッ!!
悠真は俺の予想通り再び弾丸を弾こうと光剣が弾丸に触れた瞬間———爆発。
爆発と共に弾丸は大量の爆煙を吐き出し、結界内を埋め尽くした。
これにより、俺の身体と悠真の身体を隠す。
俺の記憶が正しければ、アイツは視覚に頼ってるはずだ……。
なら、視覚を遮断してしまえば後はこっちのもんだ……!
「俺を舐めすぎたな、悠真」
ボソッと呟き、スキル———【空間把握】で悠真の位置を捕捉すると、【白悪魔】の銃口を悠真に向ける。
「———《出力最大。弾丸から魔弾に転換。
引き金を引く。
銃口より、魔力で出来た弾———魔弾が爆発的な速度で吐き出される。
———ヒューーーーーッッ———パリンッッ!!
魔弾が煙を貫いて悠真に直撃、貫通して結界に穴を開ける。
だが直ぐに爆煙で悠真の姿が消えるが……直撃は確認した。
「よし……これで終わったろ」
俺がそう判断して銃を下ろそうとしたその時。
眼前に、爆煙を切り裂いて光剣が現れる。
「なっ———」
俺は目を見開いた。
既に視界には光剣しかない。
今から避けるのは不可能。
銃で弾くのも不可能。
まずい……このままだと直撃……!!
そう判断した俺の脳が、無意識にスキル———【自動回避】を発動。
人間の反射速度を超越した速度で背を反らして寸前で光剣を避けた。
パッと数本の髪が宙に散らばる。
「……っ、嘘だろ!? アレを避けるとかアリかよ!?」
体勢を崩して地面に倒れた俺の耳に、悠真の驚愕の声が入ってくる。
その声を聞くと同時に、俺は無理な動きと地面に頭を強打したことが相まって……意識を失った。
「……今のは、何……?」
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
戦闘シーン苦手だから改善点とか分かりにくいとかあったら言ってください。
モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!
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