この作者の文章はとても端正で
驚くほど読みやすい。
そんな作者の紡ぐ、とても感動的な
物語りである。
舞台となる大阪ミナミは、いつも
明るく活気に溢れて、とても温かい。
何気ないもの、普段それとは意識する
事のない 小さな僥倖 は、案外
すぐ側にあるのだ。
魅力溢れる大阪の街で育くまれた
『彼女たち』の友情。軽妙なテンポで
交わされる会話。『虫逃げーる』が
個人的にはツボだけど、どこを
取っても皆好ましく心の目に映る。
読後の爽快、そしてワンテンポ遅れた
温かさ。
読んだ者にも、きっと細やかな、
それでいて温かな奇跡をもたらして
くれるだろう。