卒業式-エピローグ
「最後に卒業生代表アルト・ルマクによるスピーチです」
司会のトーマに促されてアルトが登壇した。正装に黒のローブを羽織っているせいか少し大人びて見える。
「最初に、これまで四年間、僕たちのために心を砕いてくださった校長先生始め、諸先生方、職員の皆さん、そして見守ってくれた家族に心からの感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました。卒業にあたり、卒業試験の話を避けることはできません。あの世界に行くまでの僕はとても傲慢でした。何でも自分ひとりでできるし、助けなどいらないと思っていました。しかし、実際は僕ひとりでは何もできなかった。僕はこの試験で自分の未熟さを嫌というほど知りました。そして、それを教えてくれたのは一緒に試験を受けたパートナーです」
アルトは胸に光るベストパートナー賞のバッジを誇示した。
「正直なところ、最初は何で自分がこんな無能な奴と組まなければならないんだと女神様を呪いました」
場内にさざなみのような笑いが起こり、ミアは苦笑するしかなかった。
「それが、蓋を開けてみれば僕が長けているのは理論のみで、行動力、実行力においては全く彼女に歯が立たないことがわかりました。僕のプライドは見事なまでに打ち砕かれました。しかし、そのお陰で、僕は目が覚めたのです。学問を極め、魔法の鍛錬をどんなに積んでも、それを活かす行動力を身に付けなければ意味がないことを思い知りました。そして、仲間がいてこそより大きな目標が達成できるのだということを理解したのです。
卒業生並びに在校生の皆さん、僕のこの気づきが皆さんの未来の一助となれば嬉しいです。ご清聴ありがとうございました」
講堂は万雷の拍手に包まれた。ミアもまた惜しみない拍手を送った。 (完)
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
いつかまたふたりに会える日が来たら、その節はよろしくお願いします。
ちなみにピコはまだこの世界にいますよ(^^)
卒業試験は異世界ふたり+1旅 いとうみこと @Ito-Mikoto
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