第2話
「すげえ……俺すげえ……」
謎にやる気が出て、掃除を始めた俺だったが己の思わぬ有能さに震えた。部屋の不要なものを捨てた結果、昨日までとは全く別物の部屋に生まれ変わった。
家具以外のほとんどのものがクローゼットの中に入った。ほとんどゴミ溜まりと化していた部屋とは思えない光景だ。
「…………」
かーちゃんを泣かしてしまった。部屋の掃除をしただけなのにそんなことで泣かしてしまうほど心配させてしまったことに気が付いた。
「しかし働くのは負けだと思っている」
駄目人間だ。俺がニートになったきっかけは会社に勤めていたから。仕事とそこでの人間関係が俺には重すぎた。だが何をして金を稼げばいいのかわからない。
こういうときには知〇袋だな。
「う~ん。やっぱり人間関係がダルくてある程度稼ぐなら自営だな」
知〇袋で質問を投げつつ、自分でも色々と調べてみた。ネットのみでのやり取りをする短期バイト的なものはいっぱいあったが最終的に金を稼ぐのならば自営という結論になった。
「で、結局なにをするかなんだけどなぁー」
掲示板でスレ立てをしてみるとやはりネットでのやり取りのみとなるとプログラミングができないと話にならないようだ。
「……勉強するか」
全くの素人ながらやる気だけは謎にあるのだ。そのやる気がいつまで続くのかわからない。だけど今やらないと絶対に俺は腐る。その確信と恐怖があった。
「意外となんとかなるもんだ」
ただ途轍もなくめんどくさかった。ブラウザからソースコードは見れるのだ。手本がいくらでもあるし、初歩的なことは検索すれば簡単に見つかった。
掲示板で相談した結果、便利系の有料サイトを運営するのがいちばん儲かるのでは? という案に興味を惹かれた。サイト運営ならばわざわざクライアントとやり取りをしなくてもいいからな。
まずは簡単なホームページを作成し、問題なく動くかどうかのテスト。サイトの中身はまだ考えていない。まずは外側から作ろうという考えだ。テスト用のプログラムを組み、テストを繰り返した。
難しいかったのは課金画面。流石にそこはソースコードのすべてを見ることができなかったのだ。
こういうところが個人事業とサイト運営との差なのだろう。しかし世の中ちゃんと調べればやり方はちゃんと知ることができる。このようなプログラミングに対するQ&Aのサイトがちゃんと存在するのだ。ただし有料だった。
色々と試行錯誤するうちに風呂に呼ばれた。うちの風呂は夜8時には沸いている。俺はニートだが親の言うことはちゃんと聞くのだ。
「………………ねむ」
ずっとパソコンに向き合ってたとはいえ、ほぼ休みなしで全力で新しいことをしていたのだ。風呂上がりに強烈な眠気に襲われるのは無理はない。
俺は布団にダイブし、すぐに意識がなくなった。
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