第3話
あれから考えてみたものの、答えは見つからない。
昨日は本当に辛い一日だった。今まで仲良く話していた博道に、まるで赤の他人のように話しかけても無視されたのだから。
でもこんな事ではダメだ。どうにかして原因を突き止めて博道と仲直りをするんだ。そしてクラスの男子達の誤解を解かないと。
しかし、本当に何が原因であんなに怒っていたんだ?一昨日までは博道は至って普通だったよな?
何か特別なことでもあっただろうか...もしかして告白関連のことか?
フラれた腹いせに俺に怒っているとか?いやそんなに理不尽なことはないだろう。
でも確かに告白した男子達のことを考えると、皆がフラれた次の日から、よく俺のことを睨んできたような気がする。
(こうなったら直接船見さんに聞いてみるしかないか...)
◇
「ふ、船見さん。今ってちょっと時間ある?」
「うん、あるよ。どうかしたの?」
「ちょっと船見さんに聞きたいことがあるっていうか...ここだと少しあれだから別の場所に行って話そう」
「いいけど...」
ダメだ、ここで早いこと話しを終わらせようと思っていたが、明らかに俺が船見さんと話していると男子達が俺を睨んでくる。
やっぱりフラれた腹いせなのか?それか俺みたいなインキャが船見さんと話すなとか?
まあとにかくそれも今から全て分かることだ。
◇
「で、聞きたいことって何かな多和田くん?」
「...単刀直入に聞くんだけど、今までフッてきた男子達に何かした?」
「特に何もしてないけど?」
「つい先日も滝沢に告白されたと思うんだけど、その時も何かフる際に言わなかったか?何か俺関連のことで」
「多和田くん関連のことか〜う〜ん...特にはないかな」
「....そうかわかった。なんかごめん船見さん、無駄な時間をとらせてしまって」
何も収穫なしか...船見さんへの告白関連のことじゃないんだったら、それじゃあ一体何が原因なんだ?
「ううん別に大丈夫だよ。それに私も多和田くんにお願いしたいことがあったんだった」
「なに?」
「悪いんだけどさ、これから私と話す時は真維って下の名前でよんでくれない?私も多和田くんのこと、これから吉一って下の名前で呼ぶからさ」
「...どうして?別にそんなに俺と船見さんって親しくなくないか?話したのだって今回で3回目くらいだし」
「いや、実はさ、フッた男子達みんなに「吉一くんと付き合ってるから」って言っちゃってるんだよね」
「ああ、そうなのか。それなら分かったって...え?俺と付き合ってる?誰が?」
「え?私が」
は?ちょっと待て状況を整理しよう。
男子達からの告白を断る際に、船見さんは「吉一くんと付き合ってるから」と言っている。
まずそれは何故?何で俺と付き合ってるなんていう嘘を船見さんはついている?
後、下の名前で呼んでくれ?それも何故?
ダメだ頭が追いつかない。
「ごめん、その話しもう一度詳しく説明してくれる?」
「...私もねこんな事したくはなかったんだ。でもあまりにも男子達からの告白がすごすぎて何か嫌になってきちゃって。どうやったら告白されないかなって考えてる時に、(あっ、誰かと付き合ってるって言えばいいじゃん!)っていう考えを思いついたの。
それでフる際に吉一くんと付き合ってるからって言ってきたんだけど、それでもあんまり効果はなくて...結局多和田くんにだけ迷惑をかける形になっちゃって...本当にごめん」
「なるほどありがとう。大体は分かったから」
なるほどな...だからフラれた男子達は皆俺のことを睨んできていたのか。でも何で俺と付き合ってるなんていう嘘を船見さんはついていたんだ?
他校の生徒と付き合ってるからって言えば良かったのに。そうすれば今回のようなことは起きなかった筈だろう。
まあ、今は何を言っても仕方がない。とりあえず何か解決方法を考えなければ。
俺と付き合ってるという嘘をついている...それならもう別れたって言えばいいんじゃないか?
そうすれば男子達の怒りも収まるだろうし、船見さんもこれからそんな嘘をつく必要は無くなる。
そして、今は俺じゃなくて新しい他校の生徒と付き合ってるとみんなに言えばいいのだ。
うん、我ながら名案だな。
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