第2話

博道が船見さんに告白してから丸一日が経った。ちなみに俺はまだ博道に結果を聞いていない。メールで聞こうかとも思ったが、それは出来なかった。 

もう博道が登校してくる時間のはずなんだが...なかなか来ないな。もしかしてフラれたショックで学校を休んだとか!?...いや、そんなにあいつはヤワな男じゃないな。


っとそんな事を考えていたら、やっと博道が来た。顔色は...あまり良くなさそうだな。

まあもし博道がフラれていたとしても、その時は友達として慰めてあげよう。告白をしたってだけですごいのだから。


「おはよう、博道。昨日はあんまり寝付けなかったのか?目のまわりのくまがすごいぞ笑」


「.......」


「博道?聞こえてないのか?それで結局昨日の告白はどうだったんだ?結果を聞かせてくれよ」


「......うるせえよクソ野郎」


「へっ?」


今、博道にクソ野郎って言われなかったか?いや、そんな事ないよな?俺の聞き間違いだよな?


「あの〜博道?あんまり言いたくはないんだが、もしかしてフラれたのか?フラれたとしてもそんなに重く受け取るなよ。たかが高校生の恋愛なんだからさ」


「....たかが高校生の恋愛だと?全部最初から分かってて裏で俺のことを嘲笑ってたくせに、今になってもお前はそんな事を言ってくるのか。最低だな。本当にお前はクソ野郎だよ。友達だと思っていた俺が馬鹿みたいだ」


...何でこいつはこんなに怒っているんだ?

全部最初から分かってた?俺が?何のことだ?

それに博道の事を嘲笑ってなんかないし、逆に応援していたぞ?


「博道?何でそんなに怒っているんだ?俺が何かしたか?何かしたっていうんだったら教えてくれ。申し訳ないが、思い当たる節が見当たらないんだ」


「思い当たる節が見当たらない!?お前それ本当に言ってんのか!?だったら傑作だよ!! いいぞ教えてやる!お前は俺だけじゃなくて、このクラスの全ての男子をからかい、どん底に突き落としたんだよ!!お前は表では異性には興味のないインキャを演じといて、裏では失恋した男子達を嘲笑うクソピエロなんだよ!!」


ダメだ、話しを聞いても何のことだかさっぱり分からない。クラスの全ての男子をからかった?

このクラスで俺が唯一話したことがある男子は博道だけなのに?そんな俺がいつどうやってからかったというんだ?


「とにかくそんなにお前を怒らせてしまったというのなら本当にごめん。それに俺は本当に異性には興味がないんだ。つねづねそれは今までもお前に言ってきた筈だ。とにかくごめん、許してくれとは言わないがもうそんなに怒らないでほしい」


「....悪いけどもう絶交だよ。お前はいくら友達だったからといって許せる範囲を超える事をした。

もう俺はこれから先、お前とは話さないから。今までありがとな。そしてさよなら」


「ちょ、ちょっと待ってくれ博道!もう少し話し合おう...って行っちゃったか...」


絶交...か。唯一のお互いを許し合える友達だったんだけどな...。


でも温厚な博道をあれだけ怒らせるなんて本当に俺は何をしたというんだ?

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