学年一の美少女は男子からの告白を断る際、いつも「吉一君と付き合ってるから」と言っているらしい
過去 未来
第1話
最近、俺はクラスの男子達にやけに睨まれているような気がする。自意識過剰なだけじゃないかと思うかもしれないが、明らかに俺のことを見る目が怖いのだ。何か悪いことでもしたのかなと考えてはみるものの、特に何も思い当たる節はない。
しかし、そんな男子達の目もある人を見れば一気に輝くようになる。そのある人というのは、うちのクラスの船見 真維さんのことだ。彼女は学校一の美少女といわれていて、髪は肩ぐらいの位置のショートヘアーで綺麗な黒髪である。
なんでも彼女はその美貌のあまり、噂によると毎月10人ぐらいの男子から告白をされているらしい。しかし、告白は全部断っているらしくて一部の間ではイケメンの彼氏がいるのではないかといわれている。
まあいわゆる「高嶺の花」というやつで、俺にとっては遠い存在なのである。
だから、別に告白しようとも思わないし、告白したところで断られるのなんて目に見えているのだから、俺は彼女に対してあまり興味を持たないようにしている。
「なあなあ吉一、今日も相変わらず船見さんは可愛いな」
今、俺に話しかけてきたのは友達の滝沢 博道という男だ。まあこいつはかなり単純で、可愛い人を見ればすぐに「あの人、可愛くね!?」と言う奴である。
「あぁ、確かに可愛いと思うよ。でもお前それ毎日言ってないか?昨日も一昨日も同じことを俺に言ってきたような気がするんだが」
朝、船見さんが登校してくると、必ず博道は俺の肩を叩いて船見さんの話をしてくる。確かに船見さんは可愛いが、毎日見てたら流石に慣れてくるものだと思うが。
「なあ吉一知ってるか?このクラスの男子のほとんどが船見さんに告白して断られてるらしいぞ。まだこのクラスで告白していないのは俺とお前だけらしい」
「言っとくが俺は船見さんに告白するつもりは毛頭ないからな。こんな部活にも入っていないインキャのことを船見さんが好いている訳がない」
それに船見さんはこのクラスのサッカー部でイケメンの久保 勝也からの告白も断ったらしいからな。あいつが無理ならもう誰が告白しても無理に決まってる。
「まあまあそんなに自分を卑下すんなって。自分の事は自分が一番好きでいないと。ってそれよりお前に大事な話があるんだった」
「なんだ?」
「....俺、今日の放課後船見さんに告白しようと思う」
「.......ああそうなの。それは頑張ってください」
「何でそんなに塩対応なんだ!!友達が一世一代の大勝負に出るというのにお前は何も思わないのか!」
正直なところ何も思わない。もちろん博道の告白が成功したら、盛大に祝うつもりではあるが。
まあたかが告白ごときでそんなに切羽詰まって話すもんかね普通。
「まあずっとお前船見さんの事可愛い可愛いって言ってたし告白するっていうのはいいんじゃないか?言わないで後悔するよりも、言って後悔したほうがいいだろう。それに下手したら船見さんもお前に気があるかもだし」
「そうかなぁ...そうだといいなぁ。さっきからずっとちゃんと告白できるかどうかで緊張してるんだよ」
「こういうのは当たって砕けろ精神でいくんだ。緊張なんてしてたら告白の際うまく言葉が出てこなくなるぞ」
ちなみに俺はクラスの前で何か発表をする際、いつも言葉が詰まる。もしそんな俺が告白なんてしようとしたら....爆発でもするんじゃないだろうか?
「でもお前と話してたら何か緊張も解けてきたような気がするわ。ありがとな俺の話聞いてくれて。俺、頑張ってみるわ」
「おう男を見せろ博道!俺は応援してるぞ」
クラス内の唯一の友達が告白しようとしているんだ。応援しないわけがない。
俺にできることは博道の告白が無事成功するよう祈るだけだ。神様仏様、どうか滝沢 博道の青春の一ページに色を添えてやってください。
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