Voice.19

陽キャアイドルの幼なじみのライバルに満月の下で会った件について

 ――1週間後の5月の満月の夜。

 オレは母さんに頼まれて、買いものに行くことになった。

 スマートフォンを見ると、午後8時と表示されている。


「まさか夜に買いものに行かされるとは思わなかった」


 それにしても、母さんに言われたとおりに買いものしたらけっこう袋が重い。

 喉もかわいたし、近くの公園の自動販売機で何か飲みもの買おう。

 そして、オレは通りかかった近くの公園の自動販売機で飲みものを買うことにした。

 缶ジュースを飲んでひと息つく。

 すると、噴水の前に笹山の姿が見えた。

 台本を読んでいる。

 こんな時間まで練習してるのか。

 その時。

 風が吹いて、笹山が台本から手を離す。

 台本は風に飛ばされて、噴水のほうに飛んでいった。

 笹山はそれを掴もうとする。

 あのままじゃ噴水に落ちるぞ。


「危ない!」


 オレは叫んで、笹山のほうに向かう。

 そして、手をのばしてなんとか台本を掴んだ。

 何事もなくすんで、オレは胸をなでおろす。


「あれ? なんで瀬尾くんがここに居るの?」


 笹山に声をかけられて、オレは台本を渡しながら言った。


「母さんに買いもの頼まれた帰り。笹山は?」

「私は演劇部のオーディションの練習」

「やっぱりそうだったのか。でも気をつけろよ。夜だし、今みたいに台本が風で飛ばされるかもしれないし」

「そうだね。気をつけるよ。台本拾ってくれてありがとう」


 そして、オレ達は公園のベンチに座ることにした。

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