陽キャアイドルの幼なじみを笑顔にしたいと思った件について

 今日はずっと遊んでいたからか、なんだか急に寂しくなる。

 隣だから、会おうと思えばすぐに会える距離だし、今日はゴールデンウィーク初日なのに。


「……着いちゃったね」

「……そうだな」


 篠原が先に自分の家のドアの前に向かう。


「じゃあ、また今度ね」

「ああ」


 オレは篠原の姿を見送る。

 その時。

 ある言葉が浮かんで、考えるより先に、気がついたら声を出していた。


「篠原」


 オレの声に、篠原が振り返る。

 しばらくした後、オレはこう言った。


「今日はすごく楽しかった。だから――」


 そして、続ける。


「次会う時はもっと楽しい日になるよ」


 オレの言葉に、篠原は目をみはった。

 そして、明るい笑顔を見せる。


「うん。そうだね」


 その笑顔に、心臓の鼓動が高鳴った。

 それから、篠原の笑顔が見れて安心する。

 オレは篠原を見送って、自分の家に入った。

 風呂に入って夕飯を食べて、自分の部屋に入る。

 スマートフォンを見ると、ゲーム制作部を作った時に新しく作ったグループメッセージに、今日は楽しかった、とか、あの場所また行きたい、とか、いろいろなメッセージがあった。

 オレは無難そうな言葉を返す。

 みんなが撮った写真も送られてきていて、アルバムに保存されていた。

 それを眺めながら、今日のことを思い返す。

 みんなと出かけたのに、頭に浮かぶのは、篠原の表情ばかりだった。

 そして、オレはようやく気がついた。

 オレは、篠原が好きだ。

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