Voice.13 やっぱり、たっくんにはかなわないな

陽キャアイドルの幼なじみと帰り道を歩いた件について

 植物園を出る頃には、もう外は夕方になっていた。

 オレ達は5人で駅までの道を歩く。

 篠原が言った。


「瀬尾くんが出したアイディア、すっごくいいと思う!」


 メガネはうなずく。


「あれなら先生もきっといいって言うよな」


 すると、文豪が言った。


「オレはもう頭の中でどんな話にしようか考えてるぞ」

「それはいいけど書くのは待て。まだキャラ設定も決めてないだろ」


 冷静にオレがツッコミを入れる。

 音海が言った。


「世界観ができてないと音楽作れないけど、瀬尾のアイディア聞いて楽しみになった」


 みんなオレのこと誉めすぎじゃないか?

 嬉しいけど、なんか急に恥ずかしくなってきた。

 そして、オレ達は電車に乗って最寄り駅まで帰る。

 そして、挨拶をして、それぞれの家に帰る3人を見送る。

 オレと篠原は同じ方向なので、2人きりになった。

 そして、2人で家までの帰り道を歩く。


「そういえば、篠原の好きな場所行かなくてよかったのか?」


 オレが聞くと、篠原は考えるような仕草をしてから、言った。


「私の好きな場所はまだ行けないから」


 そう言われて、オレは考える。

 そして、言った。


「もしかして、ライブ会場?」


 篠原は声をあげる。


「なんですぐわかったの!?」

「篠原だったらそうかなって」


 オレがそう言うと、篠原は明るく言った。


「わかっちゃったかー。やっぱり、たっくんにはかなわないな」

「どういう意味?」


 オレが聞くと、篠原はオレの顔をのぞきこむ。


「でも、そこまでわかるなら、もう少し――」


 そこで、それぞれの家の前に着いた。

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