Voice.12 なんか、あの時みたいだね

陽キャアイドルの幼なじみと2回目のカラオケに行った件について

 メガネの好きなゲームセンター、文豪の好きな本屋とまわったオレ達は、音海の好きな場所に行くことにした。


「音海さんの好きな場所ってどこなの?」


 道を歩きながら、メガネが聞く。

 音海は言った。


「歌を思いっきり歌える場所」


 っていったらやっぱり――。


「学生5名様、フリータイムですね」


 フロントの受付の店員が言う。

 音海の好きな場所は、カラオケだった。

 しかも、オレと篠原が初めて行ったカラオケだ。

 オレ達はみんなでドリンクバーで飲みものを入れてから、部屋に向かう。

 そして、部屋のドアを開けて中に入った。


「おー! 部屋広いなー」


 メガネが言う。

 店員が取ってくれた部屋は、パーティールームだった。

 ちなみに、カラオケの機械は今回も最新機種だ。


「まあ、5人居るし大きい部屋取ってくれたんだろ」


 文豪が言う。

 篠原は音海に選曲するタブレットを渡した。


「歌織ちゃん最初に歌っていいよ」

「ありがとう」


 音海はそれを受け取ってソファーに座ると、曲を選ぶ。

 そして、テレビの画面に音海の送信した曲が表示された。

 それは、ネットでミリオン再生を記録して紅白にも出た歌手のバラード曲だった。

 主人公が謎解きをするアニメのエンディングだ。


「オレこの曲がエンディングになってるアニメ観てた」


 メガネが言う。


「オレも」


 文豪が言う。

 すると、篠原が小声で言った。


「2人とも、曲始まるから静かにして」

「あ、ごめん」


 そして、イントロが流れて、音海が歌い始めた。

 音海の声は低いけれど、歌になるとこの曲に合った儚げな声も出せるらしい。

 隣に居る篠原は音海の歌を聴いて嬉しそうにしていた。

 曲が終わり、篠原が音海に言う。


「すっごくよかったよ! 歌詞の世界観が伝わってきて、想像が広がる感じ」

「……そう。ありがとう」


 音海はアイスブラックコーヒーを飲みながら篠原の言葉を聞く。

 すると、次の曲が流れ始めた。

 アニメ映像が流れている。


「誰だこの曲入れたの」


 オレが聞くと、メガネがマイクのスイッチを入れて立ち上がった。


「オレでーす! やっぱり最初に歌うのは人気のアニソンでしょ」


 そして、メガネはカラオケで一番歌われているロボットアニメのオープニング曲を歌った。

 文豪は、流行りのライトノベル原作アニメのオープニング曲を歌う。

 そして、篠原が歌う番が来た。


「何にしようかなー」


 そう言いながら、篠原はタブレットを操作する。

 みんなが居る前だと篠原は何を歌うんだろう。


「決めた!」


 そして、篠原は自分の歌う曲を送信した。

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