陽キャアイドルの幼なじみと遊びに出かけた件について
――よく晴れた日の朝。
オレは歩いて最寄り駅の改札の前に向かっていた。
待ち合わせの場所に行くと、私服の篠原が立って待っていた。
「あ、たっ――」
オレの姿に気づいて、篠原は声をかけようとする。
そこで、一瞬口をつぐんだ。
「せ、瀬尾くん。おはよう」
「どうした?」
「そ、その……今日はずっと2人っきりじゃないから」
――そう。
今日は4月のゴールデンウィーク初日。
オレ達ゲーム制作部は篠原に、『5人それぞれが好きなことみんなで体験して本当に作りたいものを探そう』と提案されて、5人で集まることにした。
「そういうことか。いきなり呼び方変えたからなんでだろうと思った」
「そういうこと」
篠原の服装は、パステルピンク色のトップスに、白色のスカート。
篠原によく似合っている。
すると、篠原は続けた。
「最近2人きりになれなかったから、つい呼び方間違えちゃった」
その時。
「2人とも早いね」
声をかけられて振り向くと、音海が立っていた。
音海の服装は、黒色のカットソーにジーンズ。
かっこよくてクールな感じだ。
「か、歌織ちゃん」
「音海」
「歌織ちゃんも待ち合わせ時間よりだいぶ早いよ」
「いつも5分前行動だから」
「そっか」
篠原が笑う。
しばらくすると、メガネと文豪も待ち合わせ場所に来た。
メガネがスマートフォンを見ながら言う。
「みんな集まるの早すぎない? 今時間ぴったりなんだけど」
文豪が言った。
「そうだよな? オレ達が遅れたわけじゃないよな?」
篠原はうなずく。
「2人とも時間大丈夫だよ」
「よかった」
2人はそう言って、安心したようにため息をついた。
そして、5人で電車に乗る。
最初は、メガネの好きなゲームセンターに向かった。
「やっぱりゲーセンって楽園だよなー!」
メガネは声をあげてアーケードゲームの台のところに行く。
篠原がメガネに聞いた。
「そういえば目崎くんってどんなジャンルのゲームが得意なの?」
「まんべんなく得意だけど、一番はクレーンゲームかな。今日の腕試しに1回やってみるよ」
そう言って、メガネは箱入りフィギュアの入っているクレーンゲームの台に行って、何個かあるフィギュアの入っている箱の位置を確認する。
そして、スマートフォンをかざしてお金を払った。
見た限りでは取りにくそうな位置にある箱を狙って、横にアームを動かす。
狙っている箱の前にアームが来たところで止めて、縦に切り替える。
そして、アームで箱の端を押して、穴に落とした。
「一発取り成功!」
「すごーい!」
「取りたいものとアームの距離を計算すれば取れるから得意なんだ」
メガネは取り出し口から景品を取って、得意げな顔をする。
文豪のほうを見ると、クイズのアーケードゲームをやっていた。
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