Voice.10 最近2人きりになれなかったから
陽キャアイドルの幼なじみと作りたいゲームを考えた件について
――オレ達が部活に本入部して慣れてきた頃。
ゲーム制作部では、ある問題が起きていた。
前に3人で作ったゲームの企画書を読みながら天沢先生が言う。
「やりたいことはとってもよくわかるんですけど……」
「けど?」
天沢先生の微妙そうな表情に、部室の椅子に座っているオレ達男子3人は息をのんだ。
隣には篠原と音海も居る。
天沢先生は言った。
「どのゲームもアイディアを詰め込みすぎなので考え直したほうがいいです」
「えー!」
その言葉に、メガネと文豪は声をあげる。
「この通りに作ったらゲーム1本作り終わる前に高校卒業しちゃいますよ」
メガネが言った。
「でも作りたいものを作るのが部活じゃないですかー!」
文豪もそれにのる。
「そうですよ。オレ達に好きに作らせてほしいです」
すると、天沢先生はため息をついた。
「僕も2人の言うことはわかりますよ。でもみんな部活だけじゃなくて、勉強とこれから学校行事もありますよね?」
鋭く言われて、メガネと文豪は何も言えないのか、こう返す。
「た、たしかに……」
「それと自分達がゲーム作るのにどれくらいかかるのかわかってない最初にこのボリュームのゲームを作るのは無理です」
「じゃあどうすればいいんですか?」
オレが聞くと、天沢先生は言った。
「アイディアはすごくいいです。だから、作りたいものを明確にして、もう少しゲームに入れたい要素をしぼってみるといいと思います」
天沢先生の言葉に、オレ達は考え込む。
「作りたいもの……か。あらためて言われるとすぐに答えられないな」
オレが言うと、メガネがうなずいた。
「そうだな。『ただゲームを作りたい!』って気持ちでこの部活立ち上げたから」
文豪が言う。
「オレもなんでも書きたいタイプだからこの中から一番なんて決められない」
すると、篠原が言った。
「じゃあ、みんなで探しに行かない?」
そして、立ち上がって続ける。
「私達の作りたいもの」
オレは首をかしげた。
「どういうことだ?」
「どういうことかっていうと――」
そして、篠原は続ける。
その提案に、オレ達は目を輝かせた。
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