ベリーショートの彼女


クラスに一人は居た気がする。

可愛い子。


特に努力もしていなさそうなのに、みんなから「スゴイ」と褒められる。

ちやほやされて、誰よりも自分が好きな女の子。

その子は、ベリーショートであってほしい。

耳に髪をかける動作が、いやらしい。

目は二重で、切れ目の目だ。


でも、本当は付き合ってる人がいるんだ。


それは僕であって欲しい。


学校から帰れば、ひとりでゲームか漫画で時間をつぶして

ろくに家事も手伝わず、勉強もせず、ベットの上でいかがわしい妄想をする。

その背徳感に溺れている僕を、どうか慰めて欲しいと思う。

君の膝に頭をのせて。僕は君の汗ばんだ匂いを嗅ぎたい。


僕がもしテストで悪い点を取っても叱らないで、叩かないで欲しい。

お兄ちゃんみたいに頭は良くないから。

上手く話せなくても、下手な会話をしても、そんなところもかわいいね、

と頭をなでてほしい。


ベットの上では、僕を好きなようにしてほしい。

僕のすべては君のだ。君にめちゃくちゃにされてみたい。

君の好きなようにして、僕を見つめて、僕だけを見て欲しい。

それでどこか壊れてしまっても、構わないから。


それで、強く壊した後は、優しく抱きしめて欲しい。

私のすべてはあなたのだから、と、お互いはだかになって

いっしょに溶けてしまいたい。

もうもとに戻る必要なんてない。

僕らで、人間をこえた何かになるんだ。

僕らなら、きっとなにかになれるはずなんだ。


僕は、ずっと君を見てきたんだ。

きみのすべてが欲しいだけなんだ。

永遠にきっとなれるから。

僕らはきっと運命だから。


「誰でもいいんでしょう。すきなひとなら、誰でもよかったんでしょう

きもちわるいよ」


















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SS『 Daydreaming 』 水野スイ @asukasann

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