「ジョーさんこの資料って…どうやるんすか?」

「お前それこの前教えたばっかだろ、学習せんか」

「いやっ、俺ががっつり体育会系なこと知ってるでしょ⁉学習能力なんて中学で置いてきました」

「自慢するんじゃねぇってそんなこと。シンジに教えてもらえ、あいつパソコン強いから」

「…そうします」

 朝から疲れた顔をしたラオに訴えかけられた。裏の仕事に関しては非常に優秀なのだが、表の仕事となるとからっきしダメだ。年下の部下に教えてもらってもダメなくらいに。今日はラオに充てるような殺しの依頼も入っていなかったので、久しぶりに1日事務的な作業をして貰っているのだが…まだ午前中だって言うのに既に悲鳴を上げていた。

 年末に向けて色々資料を作っていると、もう1つのパソコンのモニターに通知が来た。しかも2件。…今回は厄介なものはなさそうで一安心。これなら若手の奴らでも賄えるな。

「おーい仕事だ。ノブとシンジ出てくれるか」

「分かりました。ラオさんあと1人で行けますか?」

「いけません無理ですそっちの仕事俺が行きたい」

「子供か!お前は今日くらいおとなしくしてろ。ラオばっかに任せてたら下の奴らの練習どころがなくなるだろうが」

「…それは、そうですね。シンジいってら」

「行ってきます」

 やっと静かになったラオをオフィスにおいて、2人をモニターのある部屋に連れて来た。

「依頼は2つだ。ターゲットが1人の方と2人の方がある。2人の方は老夫婦だから難易度的にはどちらも変わらないと思うんだが、どっちがどっちに行く?」

「ん~じゃんけんする?」

「そうだな」

 ノブとシンジは同い年で仲もよく、良い戦友のようだ。争うことなくお互いを高め合ってくれるのでこちらも嬉しい限りだ。

「せっかくだから今回は調査から実行まで1人でやってみろ。これで成功すれば自信もつくだろうし。失敗してもうちには後ろ盾が山ほどあるから心配するな」

「はい、頑張ります」

 あまり油断させるのはよくないかもしれないが、緊張されすぎるのも良くない。胸張って行ってもらうくらいがちょうどいい。

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