水着回……?
いや待て。二層は草原。あれは、もしかして春エリア? 三層は夏の海で、四層は冬の雪山……。つまり、五層は……!
「あ、五層は火山エリアです」
「ごめんボクの予想はなかったことにして」
「はーい」
『草原が春もわりとこじつけだったしなw』
『でも火山と言えば温泉がありそう!』
『これは楽しみ!』
火山。つまりめちゃくちゃ暑いエリアだと思うんだけど……。温泉って、楽しめなくないかな……。
とりあえず四層には到達。これでいつでもギルドカードで移動できるということで、ひとまず三層に戻ることにした。海遊び、だね。
砂浜にはボクたちの他の探索者さんも当然いる。海で遊ぶという目的じゃなくて、海の魔物を狩ったりするのが目的みたいだね。遊ぶ人は、いなくはないけど……。かなり少数派だ。
さて。さすがに人が多すぎると困るんだけど……。
「認識阻害で見えなくしておきました」
「さらっとなにやってんの?」
「でも視聴者さんには見えるようにしています!」
「むしろそこを止めろよ」
『ばかやろうそこが大事だろうが!』
『さすが女神様! 信じてました!』
『水着回だあああ!』
こいつらほんとさいってーだな!
クレハちゃんやバーバラさんになんて言おう。さすがに水着をみんなに見せるのは……。
「え? 何かだめなの?」
「ただの水着でしょう」
「なん……だと……?」
え、異世界ってそんなところで緩いの? いや、だめっていうわけじゃないけど……。異世界、よくわかんないね。
クレハちゃんとバーバラさんがいいなら、まあいいかな?
「じゃあ、水着を買いに行こうか」
「用意してます!」
「なんでだよ」
さらっと言ってるけど、いつの間に用意したんだよ。しかも、なにその、取り出したやつ。四着って。いや待ってやっぱりそういうことなの?
「もちろんリオンさんの分もあります!」
「そうだろうと思ったよ!」
どうせ拒否しようと思ってもだめなんでしょ。分かってるよ敵しかいないからな! 今回ばかりは視聴者さんも全員敵だろうから!
ため息をついて、とりあえず水着に着替えることになった。めんどくさい。
アスティの趣味なのかどうか。それはボクには分からない。でもとりあえず、全員ビキニタイプの水着でした。
いやこれ、アスティとバーバラさんは似合うけど、ボクとクレハちゃんは微妙じゃないかな?
『これはこれでいいもの』
『ロリっこの水着もいいものやで?』
「おまえらやっぱちょっとやばいよ」
『オマエモナー』
いや、うん。バーバラさんやアスティももちろんすごいんだけど。かわいいんだけど。
「リオンちゃん?」
クレハちゃんがとてもかわいいと思います。
「なんでもないよ」
「うん……。えっと、何すればいいのかな。海で遊ぶって、よく分からないんだけど」
「んー……。とりあえず……。泳ごうか!」
「うん」
正直ボクも海で遊んだことなんて皆無だからね! 引きこもりなめんな!
とりあえず泳ぐ。まずはそれで考えよう。
「ダンジョンの攻略よりも海で遊んだ時間の方が長いってどういうことだよ」
『知ってた』
『長く遊んだなあw』
気付けば夕方。昼夜をしっかり反映してくれるダンジョンも夕日が傾いてる。あの夕日ってなんなんだろうね。謎すぎる。
「なんていうか……。いいのかな、これで」
「いいんですよー」
「いいと思うー」
「いいんじゃないかしらー」
ボクの部屋でのんびり寛ぐクソ女神とクレハちゃんたち。みんな疲れたみたいでだらんとしてる。
ボクが言うのもなんだけど……。適当なダンジョン攻略だよ。本当に。
「明日はお休みにして、防寒着を買いに行かないと……」
『お買い物配信ですか?』
『リオンが、自主的に買い物に行くだと!?』
『天変地異が起こるぞ!』
「君たちはボクをなんだと思ってるのかな?」
気乗りしないのは事実だけど、このままの格好で行けるとも思えないから。
それにしても。他の探索者さんも、防寒着で探索してるってことだよね? かなり辛くない?
「そのあたりどうなんですかバーバラさん」
「防寒魔法があるわよー」
「おい」
『あるんかいw』
『これ聞かなかったら無駄に防寒着買うところだったなw』
いやでも、どうして言ってくれなかったのかな。必要になることは分かってたはずなのに……。
その疑問は、案の定のところから答えがあった。
「バーバラさん! 言っちゃだめだって言ったじゃないですか! リオンさんのもこもこが見たかったのに!」
「忘れてたわー」
「…………」
『リオンのこめかみがぴくぴくしてるw』
『やっぱり邪神だなこいつw』
『まあ予想通りだったな!』
もう……。うん。何も言うまい。
ともかく。これで防寒着は買う必要がなくなった。じゃあ明日はのんびりと……。
「え? お買い物は?」
まさかの、クレハちゃんからの言葉だった。
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