5月31日(金曜日)
欲望が尽きない。五感を味わうような表現、優しさを感じる文体に、キャラが今どのような気持ちで生きているのか描写をすること、面白い会話――挙げればきりがない。
長編小説の第一部を書き終え、推敲を始めたのは良いものの、これはやりすぎると逆に次に進む勇気がすり減ることが分かった。
これ面白く書けているの?
もっと面白い表現に出来るんじゃないの?
そもそも、大前提として伝わるようにきちんと書けている? 読んでくれている人を置いてけぼりにしていない?
このように次から次へと疑問が浮かんでくるのだ。疑問が浮かぶことはきっと悪いことではない。ただ、原稿が完成していないのにあれこれ手を加えようとするのは、まだ焼きあがっていない茶碗に色をつけるようなものだ。少なくとも私はそう思った。
とりあえず、明日からさっさと第二部を書き上げてしまいなさい。全て完成させてから、たとえ10パーセントの出来に思えたとしても、そこから30、60、80と高めればいい。最初から完璧を求めるならやりづらくて、いつか創作の楽しみが消えてしまう。今の目標は『楽しんで創作をして完成させる』ことであって、いつか訪れる『人の評価』に慄き震えて心配になる必要はないのです。
そんな風に、自分を諭してみる。
私は昔から、人への評価を気にしすぎる癖がある。いっそ評価が全てと思っている節もある。だけど、違う。評価が全てなら、他者の評価に振り回されて、自分の軸を見失ってしまう。痛みを伴う私の過去の経験から学んだ。
評価が気になるのは分かりますけど、とりあえず頭の隅に置いておきましょうよ。大丈夫です、今、書けていることが凄いことではないですか。そんなに自分を追い詰めなくていいんですよ――と心の中の胡散臭い天使が言う。
頭によぎる『つまらない作品を書いたらどうしよう』という恐怖。
そんなものは吹き飛ばしてしまえ。そんな不純物は私には不要、無用、邪魔。
ここで書いて頭の中がすっきりした。
魔性の女っていう曲を聴いて、自己肯定感をアップさせておくのも良いかもしれないな。
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