5月12日(日曜日)

 空は曇り。風は強く、線香のような匂いが鼻につく。今日はどうにも身体が重く、気だるく、キュウイフルーツのような細かな毛が混ざったような血が全身を流れているかのようだし、理由もなく神経が張り詰める。目に映る全てのものが煩わしく思えるし、ただの風の音でさえ、わたしを嘲笑して侮っているように聴こえる。


 もう十年以上も前に、わたしは子どもから女性に変わった。そのせいだ。


 こういう時は必ず心がシクシクと泣き出すものだから、そんなシステムが身体に組み込まれたこちらとしては、いい迷惑だ。


 仕方が無いので薬を飲んで凌ぐ。

 これで少しは落ち着いてくれると良い。


 さて、創作の話だ。


 わたしは長編小説に手をつけようと思っているのだが、いかんせん、選んだ題材が非常に地味なのだ。この題材について知らない人はいないだろうけれど、結構マニアックと言えばマニアック、小説の題材にして書くには――特にエンターテイメント性にある娯楽小説としては、いささか、いや、かなり地味である。


 しかし、どうしてもこの題材で書きたいので、今回はこの事に意識して書こうと思っている。


 ①登場人物を豊かに表現すること

 ②語りを豊かに、鮮やかに書くこと

 ③登場人物そのものを面白く設定すること

 ④題材を鮮やかに、まるで見ているかのように描写できるよう、普段から観察しておくこと

 ⑤登場人物の職業が生活や考え方にどのように影響しているか考えておくこと


 正直、まだまだある。あえてこれ以上は、書かない。


 今回の壁は地味さだが、これを面白く描くことが出来た時、恐らく次に書く小説は更に上達して書けるのではないかと思っている。


 わたしは今まで世界観や展開ばかりを気にして、非常に大切な登場人物(登場人物の考え方や過去、思考、考え、環境など)をおざなりにしてきた。だから上っ面な文章でしか表現が出来なかったし、公募で評価を賜った時に「この登場人物の行動理由が分からない」などのご意見を頂戴したのだ。他にも細々とした描写が足りないともあった(これは圧倒的にわたしの読書不足・リサーチ不足だった)けれど。それでも有難いことに世界観や設定、掴みをお褒め頂いた。そして肝心の評価シートがどこかへ行ってしまった……ファイルのどこにしまっただろう……後で探さないといけない。


 ※ついでに言うとふんわりとした想像で書いてしまった。もっと下調べを徹底すべきだった。下読みして下さった方、申し訳ございません。


 3月?にコバルト短編新人賞に送った「少年ふぜい」は登場人物をよく設定して考えてから書いた。結果、二日で書き上げられた。まだ公募の結果は届いていない(7月発表予定)なので、評価して頂けるのか、あまり良くないのかは分からないけれど、その時に少しだけ登場人物の書き方を掴んだ気がする。


 登場人物をしっかりと決め、深く知り、題材を文章で描写出来るか観察する。


 多分、これ、ポプラ社小説新人賞に間に合わない気がするなぁ。間に合わないなら別の賞に出そう。


 少し、身体の痛みが和らいだ気がする。いやそんなことはなかった。


 女性の身体は、大変だ。

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