【#5】ステータスシステムとレベルアップ

 それから先に進もうと思ったのだが。


「あの~、イフちゃん……」


「………………」


 無視された。


 一見すると表情は変わらないように見えるが、やっぱりまだご機嫌ナナメなのだろう。


 なにせ俺がなかなか死なないだけに、『死んだプレイヤーを復活させる』という祈女イノリメの役割を全然こなせていないのだから。


 かといって、わざと死ぬのも流儀に反するし……。これは参ったなぁ。


 そうやってちょっとイフと気まずい感じになっていたんだが、俺はもう一つの祈女イノリメの役割を思い出して明るく切り出す。


「あーー! そうだ!! せっかくだし、レベルアップしてもらおっかなー!?」


「レベルアップ……?」


「あっ!? いや、間違えた!? イフちゃん、”血の契約”をしよう!!」


 ”血の契約”。


 それは原作デドディスにおけるレベルアップを意味する言葉。


 俺が今までの戦闘で溜めてきた経験値を、イフがレベルに変えてくれるワケである。


「!! かしこまりました」


 イフは驚いたように目を開いて、コクリと可愛らしく頷いた。どうやらようやく出番が回ってきて嬉しくなったらしい。


「それでは、ロゼルタ様。私の左手に触れてください」


「はーい」


 それからイフの手に触れると、空中に血の魔法陣が浮かぶ。


 ここにはこの世界の文字でステータスが書かれており、俺はそれを頭で直接理解することができた。


【ロゼルタ・R・バーンドレッド】


 レベル5


 筋力:15

 魔力:6

 耐久:10

 敏捷:14

 幸運:3


(よしよし、ちゃんと過去に作った通りだな)


 今回は筋力と敏捷に特化したキャラクターだ。


 この”ロゼルタ”のイメージは怪力系ゴスロリ美少女……って感じであり、パワーとスピードで全てを粉砕していく方針で作った。


 そのおかげでHPに影響する耐久は少し低めになったが、そこはでカバーする。


 敵の攻撃なんて全部避けてしまえば問題ないのだ、ハッハッハ……。


「それで、イフちゃん。今はいくつくらい力を貰えそう?」


「今は3つ程かと」


 なるほど、つまり3レベル分は上げれると。どこに振り分けるか迷うな。


 とりあえず、魔力に関しては現状そこまで気にしなくていいだろう。魔法を覚えたい時に上げればいい。


 となると、やはり……。


「それじゃ、これでお願いしよっかな」


【ロゼルタ・R・バーンドレッド】


 レベル5→8


 筋力:15→17

 魔力:6

 耐久:10

 敏捷:14→15

 幸運:3


「かしこまりました。少々お待ちを……」


 イフは目を閉じて祈りの言葉を唱える。すると──。


「!!」


 俺の身体に明らかな変化が起きた。さっきまでよりも更に動けるようになった気がする!!


 やがて、イフは再び金色の目を開けて言ってくる。


「終わりました。どうでしょうか?」


「うん!! いい感じ!! ありがと~~、イフちゃ~~ん♡ よしよ~~し♪」


「あの、やめてください……」


 頭を撫でてやると、スッと身を引いていくイフ。


 おぉ、こんなところまで原作と同じ反応なんて!! また感動しちゃったよ……。


 こうして俺はレベルアップで更に強くなり、堕血街だけつがいの中を更に進んで行くことになった。

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