1.夏の夜の夢 ー 光に包まれる入り江 ー
海から全身を現したその姿は、海中から上がったにもかかわらずなお、その全身を薄く青く光らせ、砂へと落ちる水滴が金色に輝いていた。
──天使の降臨──。
まさにその光景であった。
幻の
女は真っ直ぐに拓也を見つめたままであった。
拓也も女を見つめていた。
いや、
意志、いや本能さえも、その女の支配下に入ってしまったようだった。
女は前進を続けている。
月明かりを取り込み、それを増幅して発しているような白く輝く素足を、拓也が立つ岩場へと進めていた。──そして───。
拓也の目の前で、歩を止めた──。
互いは、最初に目を合わせたときから変わらず、見つめ合っている。
拓也の目の高さに、その女の瞳があった。
間近で見るその顔の造形に、拓也は再度心を奪われた。
光を放つ
揺れる度に月光を反射し、
払うことなく
その表情が、
拓也は聖母の笑みというものを初めて見た。
この世の
全てを
拓也はその光り輝く表情に自分の全てを無防備に
拓也の頬に、女の
そこから、拓也の
その光は、拓也の内側で、輝きを増していった。
女が、ゆっくりと拓也に近づく。
二つの人影が、暗闇の中でほのかな光を発しつつ、溶け合った。
光が拡散し、誰も居ない入り江に、異空間が
─────────────────────
【あとがき】
ここまで読んで下さった方、誠に有り難うございます。
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さて、此処までが序章で、次回からは異能バトルに話が変わります。
全76話で、このくらいの文字数で書いているのですが、本格バトルまで少々話数を使いすぎたかもしれません。ここで出てくる「入り江の女」が再登場するのが50話、正体が明らかになるのが71話になります。
最後まで読んで頂けると嬉しいですが、再登場エピソードが年末頃の公開です。
それまでお付き合いの程、よろしくお願い致します。
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