第15話 大内裏にて
朝から晴れ渡る寒い朝、幸親は日の高さや方向を図る実技を、
「ようし、これで四以上が出たなら、御主は動けぬぞ」
「うぬ、一と一、一と二でも良い、出ろ」
などと騒ぎながら
小鬼になど命じてはおらぬ。鬼どもも眺めているだけだ。同僚らの間に交じる小鬼に目を走らせる。
奇異に思っているところに名前を呼ばれる。
「
「ああ、
人前では
守護神の
「御主も寝足りておらぬようだな」あいさつ代わりに声をかける。
「もしかして、御主もか」間延びした声で隆国が答える。
「昨夜、散々な目にあった故にな」
「ほお、どこで」
「立ち話も寒かろう、歩かぬか」先に立って幸親は誘う。
「昨夜は
「三条
「ほお、一条ではないのか。首尾は
「やはり、
「ああ、なんだ、
「やはり人の噂は、醜い方に流れるものだな」幸親は立ち止まり呟く。
「あの女房に関する噂か」
「ああ。会うてみて、分からなくなった。だがこの先、坊主は左中将だけではなく、俺をも
「それを返せというのが、
「いや、それを言うたのは権大納言だ。左中将は鬼に会うたと相談に来た。そこに女と坊主が関係している。故に、呪師には呪師、これがお偉い方々のお望みだ」
「俺には同じに思えるがな、どちらの要求も。それで御主には、それが出来るのか」
「昨夜の手ごたえでは出来るだろう。だが、返った呪詛は坊主だけではない、あの女にも跳ね返る」
「ううむ、ここで話す事ではなさそうだ。
「そうだな、すまぬ」
今度は隆国が先に立って歩きだす。
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