第12話 マジックバッグトラブル
マジックバッグのレベルアップの波に取り残されて物資を売り飛ばすことも出来ず、逆に市場、倉庫に飽和して売りたいという要望に応えられないギルドに代わって冒険者から買い取って格納していたが、この背景にあるのはマジックバッグのレベルアップのために一時的にマジックバックを空にする必要があってのことで、マジックバッグのレベルアップが落ち着いたらまた市場も適正価格に落ち着くだろう。3日間の辛抱だ。市場も過剰反応しすぎ。
レベルアップに乗り遅れてマジックバッグ内はパンパンだがお金は買取に渡してしまって素寒貧だ。ここで公共料金とかの期日が来たら詰む。3日経ったらとっとと換金しなくては。いや、普通に消費される分があるからちょびちょび売ることはできるはずだが足もと見られる。3日経ってレベルアップが終わったバッグに再度常備品が買い戻された後に出そう。
なんでこんなに見通せる相場なのにみんな買い叩かれても売るんかね?その日に獲ってきたハンターたちにとってすごい迷惑。しかしレベルアップというのは迷惑顧みず飛びつくに値する価値を持つから仕方ない。
ともかく、パンパンの在庫とともに最低3日間はカスミと焼肉食い放題だ。不味くはないが流石に飽きる。
―――そして三日目の朝―――
予定通りなら、今日からレベルアップを最初に実施した人たちのバッグの容量が増えて再起動した頃なので、一時的に市場に出された物資を買い戻しに来て、ある程度相場が落ち着くころだ。飽和状態の時に買い取りをそれとなくお断りするための買い叩き価格設定は、売値が戻っても暫く戻ることはない。
売値の値上がりはあっという間だが、在庫がある限り買取価格は据え置きの買い叩き価格。慢性品不足になって初めて買い取り価格が上がるというものだ。
ギルドもマジックバッグのレベルアップという事情を知っているので、三日目にして早速売値を元の価格に戻す。もちろんそれが売れて在庫が寂しくなって初めて買取値が高くなるので、まだ買取は買い叩き設定のままだ。まだバローの在庫は換金出来ない。
しかし、その日、異変が起こる。想定されたマイバッグ所有者たちが買い戻しに来なかった。おかしいおかしいと思いつつ1週間経って、ギルドも鮮度が必要になる素材について再度処分価格に戻す。
二週間経過し、素材の在庫も減ってきた。買い取り価格が戻り始めた。
何か尋常でないことが起きているんだなと感じてると、またマイバッグがけたたましい通知音を鳴らす。これ、モンスターから逃げて隠れてるときに鳴ったら詰むぞ。
♪タラッタタラリラ タンタンタン
―――
先日のレベル6のアップデータで深刻な問題が発覚したため、バグfix版のレベル6リビジョン2ビルド35を配布します。
このレベルアップはレベル6リビジョン1を経由せず、どのレベルからでも適用できます。
レベルアップは領域を二重化して行うため
半分の領域が残っていれば、内容物を取り出す必要はありません。
レベルアップにかかる期間は1日ですが、レベルアップ中も従来レベルの半分の容量として継続して使用可能です。
―――
あ~あ、やっちまったんだなwすぐに飛びつかなくて正解だった。だいぶレベルアップも楽で安全になったみたいだね。とりあえずまた5万字くらいあるリリースノートと注意点を読む。これ作ってるやつらリリースノート好きだねぇ。他にやることないのんか?
リビジョン2は安全なレベルアップパスの提供であって特にリビジョン1と変わらないようだったので、レベルアップに必要な容量を確保してレベルアップを選択。
本当にレベルアップしますか?の確認に「はい」を応答。リリースノートと法的責任云々を読んで、この契約に同意しますにチェックを入れて、続行ボタンを押すと、また確認ダイアログが出てきた。「契約内容を本当に理解してますか?」「はい」「あなたは法的責任能力のある年齢ですか」「はい」「レベルアップ後は戻れません。それでもレベルアップしますか」「はい」「契約内容のテストを行います」………アップデーターとの格闘が30分ぐらい掛かった💢。腹立つわ~!
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