第10話 帰ってきた勇者パーティー
バッグの中に拉致ってるマツサカたちの勇者パーティーをいつ、どこで出すか。こいつらはバローをダンジョン深層で追放した上に、寝込みを襲ってマイバッグを強奪しようとしていた凶悪犯罪者だ。しかしそのことはバローと勇者パーティー協力者たちにしか知られていない。
協力者たちへのお仕置きは、セッXXしないと出られない部屋に金太郎のバケモノみたいな女性と大量のゴキブリンと共に閉じ込めるというお仕置きをしておいた。出れたとしても45人中の1人は確実に精神的にずたずただろうし、残りもその1人の犠牲者を選出する過程でひどく傷ついているだろう。
言うまでもなく、勇者パーティーと共謀してバローの個人財産であるマイバッグを強奪しようとしたことによる身から出た錆なので全く同情に値しない。こいつらにはこれくらいのお仕置きでいいだろう。
それはそれとして、教唆犯である勇者パーティーだ。別に奴らの持ち物で欲しいものなどないが目の前で全てを奪いながら手も足も出せない絶望を味わせるくらいのお仕置きが必要だ。それにしても、出すタイミングってもんがあるが、完全に逸した。
やはり、依頼をこなすついでを装って出すのが良いな。何か適当な依頼は無いかとギルドの求人票をみているとお誂え向きなのがあった。
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依頼:薬草の輸送 推奨ランク:制限なし
内容:隣町まで薬草を運ぶだけの簡単なお仕事です。
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受注し、カスミとは後で合流することにして単身で積み込みの現場へと向かう。
現地では見るからに反社っぽい依頼人が居て黙って倉庫の薬草を顎で指し示し、タイプライターで書かれた指示書を渡す。宛先も書いてある。
さっそく、薬草をマイバッグに格納してその場を去る。マイバッグのコンソールの単品管理メニューで、薬草の内訳を確認する。
アイテムリスト
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薬草の蕾(バッズ) 100g
解説:薬草の蕾。向精神作用のあるTHCがたっぷり。隣町では所持しているだけで違法
薬草の種子(シード)20g
解説:薬草のタネ。向精神作用のあるTHCのほかCBDも取れる。隣町では栽培禁止。
薬草の葉っぱ(グラス)1kg
解説:薬草。繊維にして衣類、袋、ロープを作るほか、燃やしてその煙を吸引するという使用方法もある。
―――
………やっぱり、(クスリの)運び屋やね。
隣町まで行くことは簡単だ。カスミ同伴なのでモンスターの大半は向こうから避けていく。
呆気なく隣町に到着するが、おそらくは城門の門番の段階で犯罪者に仕立て上げて身ぐるみ剥ぐつもりだろう。ところがバローにはマイバッグからの遠隔出荷が出来る。
届け先の住所の建物の中に、草とお品書きとマツサカたち5名を一緒に出荷してバッグの中にはやましいものは何もない状態にして城門から堂々と入る。
門番の兵士がおかしいおかしいといくら探してもブツが出てこない様子は滑稽だった。駆け出しの冒険者に冤罪かぶせて身ぐるみ剥ぐ悪い奴の一味であること確定。
さて、宛先は宛先で駆け出しの初心者ではないそれなりの猛者であるマツサカたち相手では手こずるだろう。弱者食い物にするただの悪魔だ。マツサカたちよ思いっきり暴れておいてくれたまえ。その現場となってるであろう目的地の住所に向かう。
目的地の建物では、マツサカたちが赤い旗を振り回して籠城してる。宛先に指定されていた商館の店主と思しき男が全身に傷を作って麻のロープで縛られて無造作に捨てられてた。クソッ、マツサカたちは曲がりなりにも勇者認定を受けてた猛者だった。できることならマツサカたちがしっかりと痛めつけられてボコられててほしかった。
小賢しい悪徳商人よ、丸腰の勇者ごときにまけてしまうとはなさけない。
「ほれ、受領印捺せ。」とロープで縛られた店長のポッケから印鑑を取り出し、捺印させる。
一応、送り主と受取人の名義になっており、運んだバローの名は出てこないが、これがギルドに渡す仕事完了のエビデンスであり、これを持ち帰ってきたらギルドが預かってる報酬を無条件で受け取れるシステムになってる。
弱者食い物にする悪徳商人と勇者マツサカで当事者同士勝手にドンパチしててもらうことにしてオレたちは、ギルドに戻って行って成功報酬を受け取り、今度は在庫編入分が無いのでカスミとはきっちり半分に山分けした。
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