第5話二度目のレクリエーション
明日に食レクを控えて、あたしは眠れるかどうか、解らなかった。最初は知らなかった。来て初めてのレクは、花見だった。近所の公園に行って、みんなで桜を見て、そしてお菓子を食べて、楽しかったな。花見は両親と子供の頃、近所の神社に言って以来だ。
ただあたしはあちこち行っていて、これでも大阪にも住んだことがある。というか、大阪が一番が長かった。だけどそこでも高校が遠かったこともあって、花見はいかなかった。毎日がバイトの連続で、休みの日は、家で本を読むか、小説を書いていた。
そんな高校時代だったけど、夜は淋しかった。家には誰もいなくて、あたし一人で、寝るのは淋しかったけど、夜中まで起きて小説を勉強してたな。
だけどある時、あたしは一人暮らしを決意した。今でもあの選択は間違ってないと、そう思っている。兄のせいだった。兄があまりにも自分勝手なため、あたしは卒業してすぐに、就職して関東に出たのだ。
それから一年間、関東で暮らしていて、また退職して大阪に帰った。そんな感じで、父に迷惑をかけ続けた若い頃だった。
今その父はいない。あたしが病気になってすぐだった。父は他界し、あたしと兄が遺された。母はとっくに離婚していたから、あまり関係はない。
今はあたしは一人で、施設に入って、時々催されるレクと、日々の生活に忙殺されている。でもレクは楽しみだった。お食事会。レストランに行くらしい。久々だった。この街に来る前に、最後に行ったのは、中華屋さん。
以来どこにも食べに行かなくて、このグループホームのご飯が美味しくて、ついついお腹いっぱいまで食べてしまうからだ。以前は買っていたお菓子も、買わなくなった。だけど時々、淋しくなるのは、コーヒーがないからだ。
今はグループホームに備え付けられた、自販機で缶コーヒーを買って飲んでいるから、明日はコーヒーを飲もうと決めている。あとは自分で何か択ぶしかないか。何がいいだろう。店名も聞いているけど、今のメニューは解らない。
昔はよく行っていた店だが、地域によってメニューは変わることがある。だから明日、メニューを見てから決めよう。あとは初工賃がいつかだ。工賃が入ったら、またコーヒーを買おうと決めている。あとはタバコだ。あたしは喫煙者だから。
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