第3話 ガチャガチャしてる

すけろく、すまん。

オレすけろくは大人だからなんだってやっていいと思ってた。

「ウェーイ。ランドセルあけー」

小6ってまだ子どもやんけ。近所の小1と一緒に学童行くセキニンカンはない。

「気づかないとか、こうがバカすぎー」

気づいてないわけないことに気づけないお前がバカじゃ。

「てか呼び捨てすんなや!!5コ上だぞオレ」

すけろく、なんでこんなんガマンできたん?

「こうががキレたぁー、あ給食袋つかんだろ」

「やめいちぎれるわ」

そいやすけろくもキレてたか。

「こうがメロンソーダある!!かって」

「金もってないわ…ちょっと待ってろ」

おつりのバーをガチャガチャやる。

「出てこないな、あきらめるぞ」

「いやだー、こうがのウソつきぃ。かうって言ったのに」

「オレは待ってろって言っただけだろ。キオクカイザンすんな」

ガチャガチャはすけろくがよくやってた。夏はソーダ、冬はコンポタかおしるこが飲みたかった。一回だけお金が出てきたことがあって、オレがどーしても飲みたかったナタデッココってやつを買った。一番上にあって、すけろくしか届かなかった。

そん時のすけろくとおんなじぐらいの背になって、自販機と並んで分かったけど、すけろくも背伸びしてたんだろな。

ナタデッココはショージキそんなおいしくなかった。


すけろく、高校生って忙しいんだな。最近全然見てないわ。


すけろく、高校生って大人やなぁと思っちゃうわオレ。

だから今度フツーにナタデッココかってな。

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