第2話 上も下も分からない

メイクを落として、鏡見て、「あ、自分ブサイクだな」って思えたら、なんとなく自分が成長できた気がする。

部活帰りにPLAZAに寄る。

入学式の後、垢抜けている同級生たちに圧倒されて、とにかく自分も何か始めなければと、右も左もならぬ上も下も分からず、下地だと思ってパウダーを買った場所。

たった一か月前の出来事だけど、もうここにいるのが恥ずかしくない。

背伸びしてんなぁ。

正直自分はもう少し子どもでいられると思ってた。

店から出ると、私と同い年か一個上かの一組のカップルがいた。

「まだ早いってww」

向かいの女性もの下着屋さんの前で何やら騒がしくしている。

「いいじゃんww」

女の子が男の子の制服の袖を引っ張り、下着屋に連れ込もうとしているらしい。

「今何時?」

「六時半?」

ガキ。でもそうやって片付けるのもやっぱりガキだ。


明日は綺麗な下着でも買おう。

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