第67話
結局あの日から一日も欠かさずお姉ちゃんと体を重ねている。私が気絶しないようにゆっくり一日中愛されたこともあった。というか最近はそうされた記憶しかない。流石にこの爛れた生活をなんとかしようと思い、一段落したところでお姉ちゃんに話しかける。
「ねえ、お姉ちゃん。——もう少し、その、頻度を落とさない?」
「どうして? 今までできなかった分、貴方を愛したいの。今でも足りないくらいよ。——華は、嫌なの?」
「そういうわけじゃないけど、流石にこれは。……じゃあさ、私もお姉ちゃんを愛したいなあ」
嫌じゃないからこそ困っているというか、このままじゃ私ホントにダメな子になっちゃう。そんな危機感からなんとか自分だけが気持ちよくなる展開を避けようと思っていると、名案を思い付いた。それにいつもお姉ちゃんから私にするばっかりで私からしたことはないのは確かだった。しかし、お姉ちゃんは間髪を入れずこう返してくる。
「もちろんいいけど、その間も私に愛させてちょうだいね」
「それじゃ、意味が……」
そうされたら私は気持ちよくて何もできなくなってしまうだろう。言葉に詰まっているとお姉ちゃんは不安げな表情を浮かべて続ける。
「もし華が本当に嫌ならしないわ」
ずるい。そんな顔されたら断れないの分かっているくせに。
「……嫌じゃないけど」
「なら、いいわよね」
さっきまでの表情は何処へやら、なし崩し的にそのままされてしまった。こんなものだから結局夏休み最終日まで、不健全な毎日を過ごしてしまった。しかも次に起きた時には時計の針は正午を回っていて、すでに始業式は終わっており、夏休み明けの初日は休むことになってしまった。
これはやばい。何がやばいって、私はこれが全く嫌じゃないということだ。ずっとお姉ちゃんに愛されているのは正直嬉しいし、気持ちがよくて歯止めが利かない。しかし、理性ではこのままじゃいけないことは分かっている。本格的に危機感を覚えた私は、まだまだしたがっているお姉ちゃんを宥めつつ相談する。
「明日は学校に行きたいの?」
「そう、何があるか分からないし、せめて高校、いや中学は卒業しておきたいの」
「どうしても?」
「うん。このまま溺れていったらホントにダメになっちゃうから。お願い」
今でさえかなり危ないのに、このままだと本当に取り返しがつかなくなってしまう。だからお姉ちゃんの手を取りながらそうお願いすると、渋々といった様子で承諾される。
「……いいわ。ただし条件があるわ」
そうして、今の生活に至った。学校から帰り手洗いうがいを済ませると、まずベッドに行き、事が始まる。先にお風呂に入って汗を流したいのだが、それがいいのだそう。恥ずかしくて仕方なかったが、お姉ちゃんが嬉しそうに舐めている姿を見ると何も言えなくなってしまう。
とりあえず一度それを終えたら、後処理も兼ね二人でお風呂に入りそのまま二回戦が始まる。のぼせる前にお風呂から上がり、一緒に夜ご飯を用意する。とは言うものの、この時点で私の体力はほとんどなくなっており、お姉ちゃんに頼りっぱなしになっているのが現状だ。そうして作ってもらった夜ご飯を食べ終わるとようやく一息つくことができる。その時間が一日で最も平穏で、そして最も期待に満ちた時間だ。
食休みが終わり、歯磨きや家のことなどを終え、寝る準備を整えると本番が始まる。二人でベッドに行くと、今度は私が気絶するまでお姉ちゃんにされるのだ。お姉ちゃんに『愛している』と言われながらのその行為は中毒性があり、すっかりそれにはまってしまった。毎日気絶するまで体力を酷使しているおかげか翌朝すっきり起きられているので、まだ学校生活には支障は出ていない。ただ、毎朝ぐしょぐしょなはずのシートなどがさっぱりしているのを見ると、恥ずかしさやら情けなさを感じる毎日だった。
今日もいつものように家に帰ってからお姉ちゃんの愛を一身に受けているとインターホンの音が聞こえた。中断するのかなと思って油断していると、お姉ちゃんは『後でゆっくりするから』と言って逆に勢いを増してくる。油断していた私は、抗うこともできず、すぐに果ててしまう。荒い息を整えながら、お姉ちゃんが離れていくのを見届けた。
しばらくすると、お姉ちゃんが戻ってきてやはり来たのは忍さんだということを伝えられる。このままの状態で会うのはいろいろ問題なので先にお風呂に入ることにして、忍さんにはリビングで待ってもらったとのことだ。腰が抜けて動けない私はいつもの要領で運ばれていき、お姉ちゃんと一緒にお風呂に入る。
忍さんを待たせるわけにはいかないからすぐに洗って出ようと思っていたのに、いつものようにお姉ちゃんが触ってくるので思わず『ひゃっ』と声が出てしまう。小声で『何するの? 忍さんが居るんだよ』と抗議するも、お姉ちゃんは『だから、声は我慢してね』と言って、手を止めない。仕方なく、自分の口を手で塞いで声が漏れないようにしたが、止められていたかは分からなかった。
お風呂から上がり、リビングに向かい、忍さんと向き合うようにして座る。前を見ると、忍さんの顔が若干赤らんでいることに気が付いてしまった。微妙な空気が流れていた。遠慮がちに忍さんが口を開く。
「大体察しはつくが、君たちの関係はどうなったんだい?」
どことなく呆れたような声で聞いてくる忍さんに私は何も言えなかった。さっきのこともあってとてもじゃないけど直視することができず、俯いてしまった。そんな私を置いてお姉ちゃんが答えた。
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