第2話 コラボへ
一発目の配信は上手くいったけど次以降どうなるかわからない。できるだけ入念に計画をねっていかないと……
かといって時間がいっぱいある訳でもない。今このタイミングでマメに配信、short動画を続けていかないとあっという間に忘れ去られてしまうだろう。
となると歌ってみたが一番ネタとかの意味でも楽だよね。無修正の一発録りの歌ってみたの投稿をひとまず続けていこうかな。配信者としてリスナーの皆への還元もしないとだけど私個人勢。頼れるのはおじいちゃんおばあちゃんだけ……
まてよ?おじいちゃんに力を借りるのもありかもしれない!ネットサーフィンして私を特定する程度にはVTuber文化に染まったおじいちゃんがいるなら出来ることが増えるかもしれない!
まぁどれもこれも収益化が通ってからになるんだけどね。収益化しない事には資金的にどうしても色々やるのが難しい。それ以前に収益がないのに還元もクソもないんだけどね。
とりあえずは配信活動を軌道に乗せなきゃ……配信でセルフ受肉とは言ったけど信じてない人もいるだろうし早めな証明動画を出さなきゃなんだった。
イラスト企画と歌ってみた系の動画で収益化まで持っていきたいところだけど……こればっかりは相手がいる問題だからなぁ……
配信での感触的にいけそうだからそこまで心配はしてないけど、スレ民以外にも見てもらいたいなぁ~このままじゃオタサーの姫ポジションまっしぐらだよ!他のVTuberさんとのコネクション作りのためにファンアートでも描くか……
打算100%でファンアート描くのはさすがに一オタクとしての矜恃が許さないから同時期にデビューしたVTuberさんたちの配信覗いて好きになるしかないな……
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あぁ……全員推しにするとか余裕過ぎて草。全員最高すぎ!創作意欲が止まらねぇぜ!コラボ打診のDMってどのくらい崩した口調にすれば良いんだろう。丁寧さ加減がわからない。
業務メールみたいなガッチガチの奴を送ればいいのかそれとも少しは文章に柔らかさみたいなのがあった方がいいのか……
新人VTuberなもんでそこら辺さっぱりわからんのですよ。よくわかんないからガッチガチの文章で送ろ。メールの文章固くて怒られることはないだろうし、大は小を兼ねるってね!
初コラボはやっぱり女性の方がいいんだろうとは思うけどいまいちそれ以上絞れないなぁ……誰がいいんだろう。
よし、自分に正直になろうじゃないか!自分の性癖に正直になるんだ一ノ瀬結衣!私が私欲でコラボ相手を選ぶなら……ケモ耳があってバブを感じる綺麗なお姉さん。そう、狐火 あかねさんだ!狐耳最高!
あかねお姉さんにいっぱい甘えるぞー!そうと決まればさっさとコラボ依頼文送っちゃうか。
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【件名】コラボ配信のお願い
フォックスファイアチャンネル
狐火 あかね様
突然のご連絡失礼致します。
ゆいちゃんねるの水瀬 唯と申します。
私は同時期にデビューした個人VTuber様方、そのリスナーの方々との交流をしたいと考えており、そのための一歩として今回同性である狐火様にご連絡させていただいた次第です。
ご興味があれば当チャンネルのYアカウントDMまでご返信いただけると幸いです。日程や企画につきましてもそちらでご相談させて頂きたいと思っております。
最後に貴重なお時間を割いていただきありがとうございます。
心より感謝申し上げます。
ゆいちゃんねる
水瀬 唯
チャンネルURL yourtube.com/@yuich
Yアカウント @yuichannel
メールアドレス *******@*mail.com
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こんなもんかな。あとは送信して待つだけだしshortの撮影しよ~っと!登録者を伸ばすにはコツコツ積み重ねていくしかないし地道に頑張っていこう!
狐火 あかねside
新人個人VTuberまだまだ当分使うことはないだろうと思いつつも作っていた配信者としてのメールアドレス。
今わざわざ作ったのはいつか使うことになるから今から作っておこうと思ったから。そして他の配信者さんたちのチャンネルの概要にはメールアドレスが載っていたのでとりあえず形から入ろうと思ったから。大した意味も使う気もなかったはずのメールアドレス。それに何故かメールが来た。
しかもそのメールは強強VTuberからコラボ依頼だった。しかもクソほど堅い文章で。個人VTuberのスレッドで有名な新進気鋭の配信者。
私はもちろん彼女のことはshort動画の初投稿から追っていた。圧倒的な引き出しの多さは私驚異的だ。私とは格が違うと思った。
だから私はこのままVTuberを続けるのかをデビュー早々悩んでいた。私のチャンネルがいくら伸びたところで彼女には勝てないと思った。こんな状況でVTuberを続けることに意味はあるのかと悩んでいた。
そんな時に来たのがこのメールである。彼女からすれば私はデビュー直後の現在であっても圧倒的格下。そんな私を彼女は知ってくれていた。
そして、私にコラボの話を持ちかけてきた。私は彼女の真意を知りたいと……彼女と話してみたいと思った。
だから私は自分の思いを彼女に伝えるための文章を考え始めた。
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水瀬さん、コラボのお話ありがとうございます。
私とのコラボは水瀬さんのゆいちゃんねるに比べてチャンネル登録者数も再生回数も圧倒的に少なく、あまり水瀬さんにメリットがないように思うのですが、貴重な初めてのコラボ相手が私なんかでよろしいのでしょうか。
こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが私なんかを初めてのコラボの相手として選んだ意図を教えていただきたいです。
水瀬さんとのコラボに不満があるわけでは決してないです。それでも水瀬さんなら私なんかよりもっと有名な配信者様ともコラボをすることもできるはずなのにも関わらず私なんかを選んだのが不可解でならないんです。
せっかくのお話にも関わらずこのような形での返信となってしまい申し訳ございません。
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こんな長々とした文章迷惑かなぁ……そもそも私相手に返信が来るんだろうか。まぁ別にそれでいいか。そうなったらそうなったで私はこのままVTuberの夢を諦めるだけだ。
ただそれだけ……彼女からメールが来る前に戻るってだけ。華やかなVTuberという世界から抜けてまた普通の女子大学生としての大学生活が再開するだけの話。
夢はいつか醒めるもの。私の場合はそれがたまたま今だったというだけ。ただそれだけなのにどうしてこんなに辛いのだろう……どうしてこんなに悔しいのだろう……
あぁそうか……私はまだVTuberを辞めたくないのか。でも私はここで辞めなくてはならない。私にはVTuberとしての才能がなかったのだから。
彼女のような人間がVTuberの道を駆け上がっていくのだろう。私には縁のない話だ。こんな私にも動画を見てくれている人がいる。
このまま何も言わずに辞めるのは彼らに失礼だ。だから最後にあと一回だけ……一回だけやろう。それで本当にこの世界とのお別れ。
最後だからって手なんか抜けない。最後の配信、私史上最高のものにしよう。まだ私一回しか配信したことないやだけどね。絶対にするんだ。VTuberをやって良かったって思える最後の配信に……
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