4 取り付く島がない男につき
ちゃんと地獄へ落ちてくれただろうか。
・・・・・・ヤツは今日、本当に出勤してこなかった。
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半年ほど前、
おとなしく言うことを聞けば、自分の実父である社長に頼んで昇進させてやるから、と。
これぞ、
昇進して、雑用から解放されれば、トランペット担当でもなんでもつくことができる。
お互いwin-winだしそう悪い話ではなかったはずだ。
それなのに。
「俺様の誘いを断りやがって・・・・・・! あのクソ
ガシャン、と楽器の入ったガラスケースを思い切り叩いてやった。
あれほどはしゃいでいたモブ社員どもが、一気に静まりかえる。
・・・・・・不倫を受け入れないだけなら、まだマシだった。
しかし
地位。名声。交友関係。
それら全てが、プライドとともに砂のように崩れ去っていった。
今や
どれもこれも、
全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部、全部。
(あの女のせいだ・・・・・・!)
何が「ズルまでして出世したくない」だ。
何が「家族をもっと大切にしてほしい」だ。
何が「下積みを経て成長したい」だ。
(お前のような女は女じゃない)
しおらしく掃除だの、電話対応だのをずっとやっていればよかったんだ。
それができないのなら、男のご機嫌取りでもしているほうがよっぽど可愛い。
だから、
「
と頼んだら、なんと"プレゼント"を"プレゼン"と聞き間違えるとは。
(まあ、ヤツが勝手に解釈してくれたおかげで、上手い芝居を打てたわけだが。)
復讐はトントン拍子に進んだ。
彼らの恐ろしさは、元構成員である
地獄の業火に抗えるものなら、抗ってみれば良い。
(せいぜい頑張れおつゥ! )
パワハラが飛び火することを恐れ、社内には
いわゆる
完⭐︎全⭐︎犯⭐︎罪
だが、ストレスをぶつけるやつがいなくては面白くない。
他にキープしている女と飲みにでも行こうかと、ポケットからトランシーバーを取り出そうとする。
ーーだから、
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