3 プレゼンしにきただけなのに
え、と
ーーおもちゃなんかじゃない、本物の武器ーー
男は
「ウチ、たしかに"表向き"は貿易会社でな。
もう長いこと、世間サマに正体隠しながらシゴトやってるわけなんだけど」
淡々とした口調。大笑いしていたときとは打って変わった男の態度に、
「テメェみたいなゆるふわ
「いや、待って! ちょっと待ってください‼︎ 私、今日は本当にプレゼンしにきただけなんです! 勝手に話を進めたのは謝ります! でも、あなたたちが何者かなんて存じ上げませんし、情報も売るつもりはありません。絶対に!」
しかし男はためらいなく、
このままでは、きっと
(最期にもう一回、トランペットを吹きたかったな)
だんだん、景色がスローモーションになってくる。本能で分かる。コレ、だめなやつだ。
なすすべなく、もはやこれまでかと目を瞑った、そのとき。
「おうおう
(あれ? 衝撃が来ない。)
ゆっくりとまぶたを開く。
「ーー! ボンジョルノ、ボス」
と、その場に片膝をついて礼儀正しく挨拶をする姿は、まるで若武者のようだった。
「やあ嬢ちゃん、ウチのが怖がらせたみたいで悪ィな」
ボス(?)がこちらに気さくに手を振ってくる。
「ターゲット名簿に目を通してりゃ、そこの嬢ちゃんの必死な声が聞こえてきてよ。
(なんだか、凄みのある人だ)
存在しているだけで、空気が一瞬で変わってしまったのは
「いやでもボス、この女はーー」
「いいか、モテる男に必要なのは、相手の話をよく"聞く"力だ。まあ恋愛に限った話じゃないけどな」
「マフィアたるもの、名誉ある"男"として恥ずべき行動を取るな。お前は今、ファミリーの掟を破ろうとしていたな。これがどういうことか分かるか、
「まずは嬢ちゃんの
結われた
「女、短気なオレに殺されないよう3分以内に話せ。」「
ボス(?)にコツンと小突かれる
「嬢ちゃんが話しやすいように、お前らァ外出てな」
「私の名前は女じゃなくて
楽器店で見習いをやっていること。
今日に至るまで
全部話したところで、
「3分03。」
「惜しい! って、ええ⁈ ホントに数えてただなんて、そんなあー!」
「残念だったなァ? だが約束は約束だ。テメェには死んでもらっーー」「
ボス(?)の華麗なエルボーが、
「ハハ、冗談ですよボス」
この男が言うと、あながち冗談でもなさそうに思えてくるけれど。
「くだらねぇ話だったけど、まあ1つだけ収穫はありましたね」
2人は互いに頷き合う。
「
「借金して逃げた腰抜けの、な」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(マフィアのアジトに、わざわざ自分の部下を寄越すたァな。)
なにか
よっぽど恨みがあって殺したい、とか。
借金を肩代わりさせようとしてる、とか。
(それとも、その両方か? )
オレなら、と
(そんな上司がいたら・・・・・・殺される前に殺しておくけどな)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます