第2話 『なぞの女将さん』 その1
『まあまあ、みなさん。難しいおはなしばかり。ここに来たら、やめましょう。浮き世の話は、浮き世にいるときにする話し。もっと、楽しいお話はありませんの?』
と、多少年月は経たものの、いまだ、かつて絶世の美人といわれた女将さんは、健在なのであるが、……は、そう言った。
『女将、地球の存亡の話ですからなあ。』
和尚さんが、やや、たしなめるように言うが、あくまで、初対面のふたりである。
『まあ、和尚さんたら、まるで、先生みたいな。』
『いやまあ、むかしは、となりの小学校で、校長をしてましたがな。』
『あら。あちらで?』
『はい。卒業生でもあります。』
『あら、では、
『え? 次萩校長先生は、ぼくが6年生の時の、校長ですが。変わった名前だし。まあ、そんなには、いないかと。』
『ほほほほほ。同期生ですの。』
『え?』
『はははははは、女将は、長らくめったには、時間が経たないここにいましたからな。』
と、あのおじさんが言うのだ。
『まあ、多少、現世には帰ったから、いささか、時間が動いたしが。あなたがたも、ずっとここにいたら、なかなか、としはとりませんでしからなあ。』
『まさか。そんなわけには。』
『はあ。いやいや、むりもないぞな。そりゃも。女将、ちと、中継画像にしてくれませんか。』
『えー。刺激的かも。ふふん。』
女将さんは、かるく、しなをつくってみせた。
『まあまあ。百聞は一見に如かず。論より証拠。聴くと見るとは大違い、となし。』
『はいはい。』
女将さんは、かなり大きい画面のテレビをつけた。
あり得ないような光景が、そこには、浮かんだのである。
😱
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