『続 少数酒場』
やましん(テンパー)
第1話 『なぞのおじさん』 1
キュースリーさんは、ロボットであるがゆえに、お酒は飲まない。
飲む必要性も感じない。
店の前に立って、ひたすら、あたりを警戒して居たのだ。
『それが、いかにすばらしいことか、世の中の酒飲み上司たちは、思い知るべきですよ。』
と、軽く酔ったぼくが言った。
お酒を飲むのは、10年ぶりくらいだろうか。ビールは同窓会で飲んだけどな。
『まあ、そのとおりすな。しかし、あなた、それを、上司に言いましたか?』
例のおじさんが、にやにやしながら尋ねてきた。
『まさか。ただ、宴会に出るのを止めましたよ。』
『そらまあ、思いきったことを。』
『そうかな。会費を毎月はらって、ごたいそうな宴会にでても、常にひとりぼっちで、ご飯食べるだけなんですから、意味ないですからね。そんなの、ストレス貯まるだけ。でも、あとから、悪く言われましたが。ま、気にしませんよ。かつては、課長から、なんできみはみんなみたいに騒がないのか! と、叱られたもんですが。宴会で騒いでなんになりますか。無意味。無価値。ナンセンス。ウンジン。イネプティアス。』
『まあ、わかるよ。その通りなんだがね。』
よこから、和尚さんが口を挟んだ。
『ただ、葬儀もそうだがね、あなたが、そこに居ることに意義があるのも確かですからな。あなただって
課長クラスだったんだし、あなたが、ただ、そこに黙って居ることに、ことさらの意義があるわけですよ。とくに、酒の席がつらい人にはね。あなたは、鏡だったかもしれません。また、さらに上司からも、そこを確認されているわけだな。』
『はあ。なるほど。まあ、でもね、実際に30年も、そうやってきたわけですよ。もう、卒業してよいと、判断したわけです。体調も悪くて、ひたすら苦痛なだけだし。あとから、組合の新聞には、宴会にもでないような人が居ると、書かれましたが。』
『なんと、職場からでなくて、組合からかい?』
『そうなんですよ。体調が悪いというのに対しては、労使ともに立場が一致しますからね。そんなやつは、いらない。とね、……うい。』
『うい。……まあ。まあ、もう、いっぱい。』 🍶
和尚さんが、勧めた。
『ぼく、糖尿病すよ。殺すきですか? あ、和尚さん、儲かるかな。』
『こらこら。ははははははは。みな、行き着く先はおなじなり。なまごみだあ。🔕』
『いや、そのことですが。地球は、すでに、滅亡いたしました。』
と、例のおじさんが突然に言った。
『はあ? またまたあ。あなた、人が悪いなあ。』
『いやいや、ほぼ事実レス。まあ、そうなるとは、確実ではなかったんれすがな、危なくはあったんだな。だから、あなたがたを早く、ここに呼びたかったわけれすよ。』
すると、キュースリーさんが駆け込んできた。
『やあ、飲みたいのかね?』
和尚さんが訊いた。
『おさけ、いらないよ。緊急情報。緊急情報。』
『ほう?』
『デミグラス国が、二区和泉の基地を攻撃しました。そこで、グランドオーシャン海軍から、報復が行われ、するってえと、デミグラスが、グランドオーシャン本国を攻撃し、グランドオーシャン本国から、デミグラスに攻撃があり、デミグラスは、グランドオーシャンの全同盟国を攻撃した。それで、もう、つまり、無茶苦茶になりました。以上。』
『ふん。………ああ、それで、どおなったって?』
『人類は、まだ、たぶん絶滅はしてないけど、残りは、およそ、10万人くらいです。地下シェルターに1万人くらいはいるね。でも、みんな、長持ちはしないね。半月で1000人くらいになります。おおよそですが。』
『ほら、そうでしょう?』
おじさんが、あっさり言った。
『ほんと?』
『ええ。でも、驚くには当たりませんよ。各政府の中枢は、たくさんの国民はいらないと思っていますからよ。核心部分だけが居れば良いわけです。まあ、しかし、今回はだめでしょうよかなあ。なんせ、うちいうじんが、噛んでますからな。』
『はあ?』
ぼくと、和尚さんは、顔を見合わせた。
『待った、このあたりは、どうなった?』
と、和尚さん。
『ありません。』
『こらこら。そんな、禅問答みたいに言っちゃあならないよ。』
『はあ。つまり、みな、蒸発もしくは、溶解しました。だから、ありません。』
『なんで、ここさは、無事なんだい。おかしじゃないか?』
『ここさは、ちょっとだけ、次元がずれてます。』
『うな、ばかな。』
『いやいや、ロボットさんが言うのは、たらしいのれす。我々は、つまり、うちう空間にいるわけれす。これは、銀河連盟の意志なわけなのれす。』
『ぎんがれんめい? なんだ、そりゃ?』
🙅
🍻🍷🍺
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