第4話

次の日、僕はロックステイの東のカナリアの森でスライムの穴場に行った。掃除の依頼を達成したとき、ギルドの受付のリアラさんに教えてもらった。

基本的にスライムしかいないので、安心ではあるが警戒は怠らない。たまに、ゴブリンなどもやってくるからだ。


僕は、今日はじめて、魔物を魔物を倒す。人を殺すわけでもないから、そんなに緊張しなくてもいいのだが、やっぱり動物を殺すのに抵抗があるように、魔物を殺すのにも抵抗がある。


僕は、スライムを見つけて、剣を高く上げて、勢いよく振り下げた。しかし、

スライムは真っ二つに別れないで、スライムの弾力で弾き返される。

僕は、スライムを一撃で倒せなかったことにショックを受けて、

何度も剣を高く上げては振り下ろした。しかし、結果はさっきと同じでスライムを倒せない。


それから、試行錯誤して、横に切ったり、斜めにきったりとしたがスライムを倒すことはできなかった。これ以上やっても意味がないと思い。昼を前にいったん引き上げることにした。

ギルドの受付のリアラさんに、スライムを倒すためのコツを聞くために、ギルドに行った。

僕は、ギルドに入って、リアラさんがいる受付に向かった。


「あの、スライムを倒すにはどうすればいいですか」


スライムごときを倒せないことに恥ずかしさを感じながらも、リアラさんに聞いた。


「え、レオンさんスライムも倒せないんですか」

とリアラさんはからかうように言った。


「いや、もちろん倒せるよ、けど楽に倒すためのコツを知りたくてね」

と僕は嘘を言った。


「冗談ですよ、ちょっとレオンさんをからかってみただけです。スライムを倒すにはコツが必要ですから、スライムを倒せなかったと笑いませんよ」


リアラさんに、スライムを倒せなかったことがばれていたようだ。


「スライムを倒すコツは、スライムの核を狙って剣を振り下げることです。

スライムは核をねらうと、倒すことができます」

「あ、そうなんですね、聞けて良かったです。」


僕は、リアラさんに礼を行って、ロックステイの東にあるカナリアの森に入っていった。

スライムの狩場にいき、僕はさっき、リアラさんに教えられたスライムの核を狙って、剣を頭の上空に持っていき振り下げた。剣がスライムの核にあたった。

すると、スライムは動かなくなり、柔らかい塊となった。

僕はスライムを倒すことができてほっとした。


きっと、リアラさんは僕がスライムを倒すことができなかったことを内心では笑っているに違いない。誰でも倒せるとシエラさんが言っていたので、自分が情報もつかまないで、倒せなかったことに自分は恥ずかしくなっていった。


僕は早くレベルを上げようと次のスライムを見つけて、スライムの核を狙い剣を振り下げるが、なぜかスライムが動いて狙いが外れてしまった。

何回もやるが、上手くいかない。さっき倒したのはたまたまだったのか。

違うスライムで倒そうとしてみるがやっぱりできない。僕のレベルが低いのか腕力が弱いのかわからないが、倒すことができない。


これはやばいと思い、スライムの核に狙いを定めて横に切ったり、斜めにきったり工夫したが、スライムが動いて核をつくことができなかった。

僕は、剣の才能がないのかもしれない。スライムを倒せないと冒険者としてやっていけない。ほんとにまずいことになった。


休憩をはさんで、また、スライムを倒そうと試みるが倒すことはできない。

あれ、なんで最初はスライムを倒すことが出来たのだろうと思った。

本当にたまたま倒せただけなのかもしれない。

僕はその後も、何百回と剣を振り下ろすが倒すことができなかった。

僕は一生スライムを倒せないのかと思うと、涙がでてきた。

スライムは雑魚のモンスターであるとシエラさんは言っていた。

僕はスライムを倒せない雑魚なのかもしれない。


僕は、森の木の横で泣いていた。僕でも、スライムぐらいは倒せると思った冒険者としてレベルを上げて稼いでいくはずだったのに、ゆくゆくはオークを倒してみたいと夢みていたのに、最初のスライムで躓いてしまった。

僕は冒険者には向いていないのかもしれない。

でも、冒険者ぐらいしか食っていけないので、頑張るしかない。

また、明日、スライムを倒すのに挑戦してみよう。そっから、今後を決めようと思った。

僕はスライム狩りをやめて、森からでてギルドに向かった。

受付には、リアラさんがいた。


「スライムの換金お願いします」と僕は言ってスライムの塊を一個、受付のリアラさんに渡した。


「あれ、スライムの塊一個だけ?レオンさんいったいどうしちゃったの」

「いや、僕は冒険者向いてなかったようです。スライム1体しか倒せませんでした。」

僕は、少し涙が出てきた。

「みんな大体10体ぐらいは狩れるわよ、レオンさん剣の才能がないのかも」

「ですよね、ほんとにどうしよう」

「まあ、簡単な依頼はあるので、それで稼げばいいと思う」

「はい、頑張ります」


僕は、がっくりと肩をおとして、ギルドを出て行った。


リアラは、スライムを一日1匹しか倒せない人を初めて見た。

本当に剣の才能がないのかもしれない。どんなにレベルが低くても倒せるのに、子供でも倒すことができるスライムを倒せないのは、弱すぎる。

レオンさんが、困っているなら私が養ってもいいかもなとも思ってきた。

若いし、背が少し小さくてイケメンで優しい彼は魅力的だ。

今度、ご飯にでも誘ってみよう。そうリアラは思っていた。

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