第6話 皇子として3



 離宮に移り住んで半年が過ぎ、リンダ師匠がもう教える事はないと言って。


「なぁ、アタシは不安定で魔獣と戦っていつ死ぬかわからない冒険者を辞めたいのだ。リオン様、アタシを家臣として雇って貰えないだろうか」


 此の半年でリンダは言葉使いが悪いが真面目で良い人なので家臣にする事にして。


「リンダがその気なら良いよ。余の側近として仕えてくれ。最初は1か月の給料は小金貨5枚だがそれでも良いか」


 此の世界の貨幣は。


鉄貨   1ルプ

小銅貨  10ルプ

大銅貨  100ルプ

小銀貨  1,000ルプ

大銀貨  1万ルプ

小金貨  10万ルプ

大金貨  100万ルプ

白金貨   1,000万ルプ


 平民の子供2人の標準家庭で1か月暮らすには大銀貨5枚5万ルプで前世の日本より物価は4分の1くらいなので円にすると20万円だ。


 リンダの1か月の給料は円にすると200万円くらいだ


「本当か! 嬉しい。それなら好きな酒も飲めて快適な暮らしができる」


 俺にとっては陛下が付けてくれた使用人以外で初めての家臣だ。


 それも此の大陸に10人もいないS級冒険者だ。戦いになったならリンダ1人で千人の兵士を相手に戦っても負けないだろう。



 新しい住まいと暮らしにも慣れて今日はシモン、アヤノ、リンダの3人を連れてリマ皇都を見て歩くことにした。


 馬車で街の中央の商店街に行く途中の平民の住宅街は相変わらず糞尿が捨てられて不潔な感じだ。


 馬車を降りて商店街を歩くと表通りはキレイだが、裏道を歩くとやはり糞尿が至る所に捨てられている。


 今度、陛下に会った時に此の国の衛生管理はどうなっているのか聞くつもりだ。


 

 商店街を見て歩いていると、奴隷商人の店があったので店主を呼ぶと、いかにも強欲そうな小太りの男性が俺が子供なので。


「奴隷をお買いになるのですか? 買わないのならわしも忙しいので・・・・」


 店主の話をアヤノが遮って。


「お前は此のお方が第5皇子様と知って話しておるのか? 無礼な態度を取るのならこちらもそれ相応の態度を取るが良いのか」


 店主は俺が皇子だと知ると顔を青くして。


「申し訳ございません。まさか皇子様とは知らずに冷やかしだと思ったもので」

「もう良い。どんな奴隷がいるのか後学の為に見せてくれるか」


「はい。ご案内いたします」


 店主の後を付いていくと鉄の棒で区切られた部屋に奴隷が入れられていたが全員が薄汚れた服を着て、ある者は諦めきった表情で、ある者は俺たちを睨みつけている。


 その中で15歳くらいの少年が、グッタリして頭だけ出して毛布に包まっていたが眼だけはランランと光り、俺を睨んでいる。


 俺はその少年が気になり鑑定してみると。

名前 バース・ノエル

性別 男

年齢14歳

称号 剣豪

レベル:30/100

魔力量 200(最大1,000)

統率力 40   威圧力 10 

武力  40(剣 45。軍事力1) 

体力  20  知性  50   

精神  30  指導力 20   

運   10  誠実  40 

スキル

水魔法

★父親が冤罪で処刑され奴隷に売られた



称号が剣豪でレベルが30もある。


 それに加えて父親が冤罪で処刑されているのが分かった。

俺は彼を奴隷から解放して側近にするために買うことにして。


「店主、この奴隷はいくらだ?」


「大金貨3枚300万ルプです」


「分かった。此の奴隷を買おう」


 買うと言われた奴隷が驚いていたが、シモンがお金を払い奴隷を連れ出すとバースが俺を睨みながら。


「俺は貴族が嫌いだ。アンタは何で俺を買ったのだ」


 俺はそれに答えず。


「お前の父親は冤罪で処刑されたのだろう。冤罪を晴らしてやるから俺の側近として仕えろ」


 バースは顔色を変えて驚き。


「アンタは何者なんだ? 父親の冤罪を晴らしてくれるのなら仕えてもよい」


「余は第5皇子のリオン・クロードだ」


 俺の身分を知ったバースはビックリしていたのだ。

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