第52話 レイナさん、再登場


「レイナさん!? どうしてここに?」

「そりゃ、こんなに可愛い子たちがわっちの娘の為にも頑張ってくれるんだもの。ウチが何もしないワケにはいかないでしょう?」


 いつ見ても、レイナさんの浴衣の着こなしは見ててハラハラする。

 ずり落ちたりしないのかな……

 そして、ルーナが「フシャー!」と声を出し、ケモ耳の毛を逆立てて威嚇している。

 落ち着いて。


「東の砦までの馬車くらいはウチの組から出させて頂戴な」


 ルーナは俺の前にズイッと出てくるとレイナに対抗するように胸に胸をぶつけて高圧的な態度を取る。


「残念でした! エノアたちは私が運ぶから大丈夫だよ! お姉さんは引っ込んでて!」

「あら? 『お姉さん』だなんて嬉しいわぁ。でも、お嬢ちゃんがどうやって運ぶの?」

「私、虎に変身できるの! だから背中に乗せていくんだよ!」

「それは凄いねぇ。獣人ってそんなことできたかしら?」


 俺は少し考える。


「いや、有難くレイナさんの馬車を借りよう。ルーナはいっぱい走ったら砦に入る前に疲れちゃうかもしれないし」

「ぜ、全然平気だよ! それくらい! むしろ、エノアにまたがってもらえると元気が出るから! 本当に!」

「それと……俺には作戦があるんだ。その為には馬車の方が都合が良い」

「良かったわぁ、少しでも力になれそうで」

「むー! エノアがそう言うなら良いけどさぁ~」


 レイナさんはニコニコと笑いながら胸元から出した扇子を開く。

 相変わらずの収納能力だ。


「作戦って~? 難しいのは私、分からないよ~?」


 ルーナは少し不安そうに尋ねる。


「無理やり攻め入るのは危険だ。東の砦は兵士が守っているわけだし」

「酷い奴らだよね~! 国の兵士のくせに、奴隷を隠ぺいするのに協力するなんてさ!」

「東の砦は左遷されるような場所だから、元々問題のある兵士しかおらんのよ。お金さえもらえれば何にでも目をつぶるような奴らさ」


 レイナさんはそう言うと、パタンと扇子を閉じて鋭い瞳を開いた。


「――とはいえ、わっちら極道は"正しい道"は踏み外しても、"人の道"は踏み外さん。アヤツらはその最低限のルールを破ったんだ、殺されても文句は言えないねぇ」


 流石に殺しはしないけど、俺もレイナさんの考え方には同意できる部分があった。


「そういうわけで、俺たちは砦に潜入して内側からエルフたちを開放していこうと思う」


――――――――――――――

【業務連絡】

 何度も『レイナ』を『レイラ』と打ち間違えました(自分の他作品のヒロイン)。

 間違いがあったら、遠慮なくご指摘頂けると助かります!


 皆様のおかげで、ランキングを駆け上がっています!

 毎日投稿をしていますが、少し投稿ペースを落とさせていただくかもしれません!

 引き続き頑張っていきますので何卒よろしくお願いいたします!

 <(_ _)>ペコッ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る