第48話 今日の部屋を取ります

 俺たちのやり取りを見て、ロッドは笑う。


「あれだけの力、やっぱり制約付きだったか。休むならギルドの部屋を使っても良いぜ。用意してやるよ」

「ありがとう、ロッド。助かるよ」

「おう、少し待ってろ」


 実はもう、キャンプスキルすら使えない状態なんだよね。

 俺が動けるようになるまでは東の砦に攻め入る事もできない。

 大人しく部屋で休ませてもらおう。

 部屋の準備ができるまでは、フェリが俺の事をお姫様のように抱きかかえていた。


「フェリ、ずっと抱えてくれなくても床に寝かせてくれて良いよ」

「エノアは恩人……そんなことはできない……」

「フェ、フェリ様! お疲れじゃないですか!? いつでも私が代わりますよ!」

「全然へーき……ふふ……エノアの身体、あったかい……」

「いいな~! いいな~!」

「少なくともルーナには渡さない……」

「えぇ~! 私、本当に何もしないよ~! ……多分」


 完全にオモチャにされる俺。

 女の子って人形遊びが好きだからね。

 着せ替え人形にまでされないなら、別に好きにしてくれて良いんだけど。


 やがて、ロッドが来て俺たちを大きな部屋に案内してくれた。

 ベッドは……大きいのが一つしかない。


「悪いな、他の部屋は全て埋まっててよ」

「使えないなら仕方ないね! うん、仕方ない!」


 ルーナがロッドと何やら固い握手を交わしている。

 俺は、その部屋のベッドに寝かせてもらった。


「じゃあ、この部屋は4人で好きに使ってくれ」

「ありがとう、ロッド」

「何言ってんだ、礼を言うのはこっちだよ。これからは胸糞わりぃクズの顔を見なくて済むからな」


 そう言って、ロッドは笑いながら部屋を出て行った。

 扉を閉めると、ルーナが瞳を輝かせる。


「エノア! 今日もすっごくカッコ良かったよ! 流石は私のご主人様――ってあれ?」

「はぁ……はぁ……」


 しかし、本格的にドラゴンの心臓の反動が襲い掛かってきて俺の意識は朦朧としていた。

 全身から冷や汗が噴き出して、震えが止まらない。

 3人とも心配した様子で俺に駆け寄って来た。


「――エノアっ! 大丈夫!?」

「エノア様! す、凄い熱です!」

「ど、どうしよう……オロオロ……」


 俺は精いっぱいの笑顔を向ける。


「だ、大丈夫……少し寝れば……きっと……良くなる……」


 そのまま、意識を失ってしまった……。


 ――――――――――――――

【業務連絡】

 今日は短くてすみません!

 その代わり、明日は『おまけ話』も付きます!

 毎日投稿、引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします!

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