第43話 少女たちに好かれるワケ
決闘が終わると、ギルドマスターのロッドがリングの中央で気絶しているドミニクを雑に担いだ。
「さて、コイツを救護室に運ぶ。お前たちもついてこい、勝負前にお互いに約束していた『勝者の権利』があるからな」
そう言われた俺たちはロッドの後に続く。
周囲の冒険者たちはまだザワザワとした様子で俺の事を見ていた。
ルーナは俺の事を見下していた冒険者たちに「やーいやーい! ざまぁみろ!」と言いながらお尻を叩いている。
これが聖獣の姿か……?
冒険者ギルドの裏の部屋に着くと、ロッドはドミニクを荒々しくベッドに放り投げた。
「それにしても、やるじゃねぇか。ガキの冒険者がドミニクをぶっ倒しちまうなんて」
笑うロッドに俺は少しムッとした。
「俺はガキじゃなくてエノアって名前がある。それに、冒険者でもない」
「おぉ、そいつは悪かったなエノア」
「私はルーナ、こっちはロマリアで、こっちはフェリ!」
ルーナが全員の名前を紹介すると、ロッドは俺の肩をバシバシと叩く。
「あぁ、話は聞いてたぜ。そのロマリアって子の為に決闘したんだろ? がはは、こんだけ男気が有るならハーレムになっちまうのも無理ねぇな」
ロッドは勝手な事を言って笑う。
「エ、エノア様……ありがとうございました。本当に、本当に嬉しかったです……」
ロマリアはそう言って顔を赤らめた。
「ううん、むしろ俺はドミニクの話を聞いたらカッとなっちゃって……反省してるよ」
「それが、私には凄く嬉しかったんです……」
「それに、ロマリアが俺の事を信じてくれたから勝負できたんだ。こっちこそありがとう」
「そ、そんな! 私なんて、見てるだけで何も出来なくて……」
「ロマリアが応援してくれなかったら負けてたかも」
「そうだったんですか!? よ、良かったです……一生懸命応援して!」
相変わらず、疑うことを知らなそうなロマリアに俺はつい笑ってしまう。
「私も応援してた……」
「フェリもありがとう」
「ん……」
俺が感謝すると、フェリは目を細めてドヤ顔をする。
ロッドは俺に尋ねた。
「さて、ドミニクに聞きたいことがあるようだったが俺は席を外した方が良いか? 約束の履行を見届けて欲しいならここに残るが」
俺は考える。
このロッドという男に信頼が置けるかどうかは分からない。
ギルドマスターという立場の人間が味方につけば結構心強いけど……
悩んでいると、ロッドは続ける。
「……ちなみに、ウチのギルドでは『奴隷の所有』が禁止されてる。ただし、『奴隷の使用』は取り締まるのが難しいんだ。このドミニクって野郎には俺も内心手を焼いていてな……」
そして、俺の耳元でこっそりと話をする。
「こいつにもっと痛い目をみせてやりたくないか? お前だって、大切なお嬢ちゃんを傷つけられて、本当はこの程度じゃ満足できないくらい頭にきてるんだろう?」
そして、サングラスを光らせて悪い表情で笑った。
――――――――――――――
【業務連絡】
そろそろ11月なのにまだ暖かいですね……。
寒がりな自分には有難い事ですが、一方で「大丈夫か?」と少し心配になってしまいます。地球、頑張り過ぎです。
本作はのんびりと毎日更新を続けていきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます