第36話 みんなで移動!
「よし、みんなの準備が整ったね」
「「「はーい!」」」
俺の前で、女子3人が元気よく返事をする。
ルーナはホットパンツとへそ出しシャツ、そしてスポーティなキャップ。
ロマリアはミントグリーンのワンピース、足元には白いストラップサンダルを履かせてあげた。
フェリはダボダボのパーカーにドルフィンパンツとシャツ、それとヘッドホンのようにも見える耳当てを首に下げさせている。
耳を隠すアイテムがもう一つあった方が良いだろうという判断だ。
3人とも、何度も鏡の前で自分の姿を見返してはキャッキャッと楽しんでいたので、かなり気に入ってくれているみたいだ。
そして、俺の恰好はラフな短パンとTシャツだ。
ウィシュタル家では常に貴族服のようなフォーマルな服を着せられていた。
だから、逆にできるだけワンパクで馬鹿な子供っぽい格好で王都に行く。
そうすれば、ウィシュタル家の関係者にも気づかれにくいだろう。
俺たちはログハウスの外に出ると、スキルを解除してログハウスを消した。
キャンプ道具はこうやって消すことができるから便利だ。
どうやら一度出したキャンプ道具は状態も保管してくれるらしく、俺が作ったルーナ風呂もそのまま保管されている。
これまでに手に入れた食材は全てリュックサックに入れている。
そのままにしておくと腐ってしまうんだけど、キャンプスキルのチート包丁「トゥルーカット」の能力が便利に働いている。
『包丁の刃は、あらゆる硬度の食材も驚くほどスムーズに切り裂き、その切り口から素材の鮮度が失われることなく、純粋な形で保存される』
つまり、一度でも刃を通してしまえば鮮度が失われることなくいつでも取りたての食材として残ってくれるのだ。
エラスムスの肉も、まだ1000人前くらい残っているけれどずっと腐らずに保存ができるので、少しずつ食べながらステータスを上げていく予定だ。
俺たちはエラスムス霊山を下っていく。
やがて、森を抜けて平原に戻って来た。
遠くにぼんやりと見えるヴァリス王国を目指して歩く。
「足は疲れてない?」
俺は一応、ロマリアとフェリに尋ねる。
「はい! このサンダル、いくら歩いても疲れません!」
「私も大丈夫……この靴凄く楽……」
SSランクのスキルなので、出した物全てに規格外の能力が付加されている。
履物を出したら、当然のように疲労防止の効果があるのだろう。
俺も全く疲れていない。
そんなやり取りをした後にルーナを見ると、何やら頬を膨らませていた。
「ルーナ、どうしたの?」
「だって、エノア! 私には疲れてないか聞いてくれなかったじゃん!」
「ルーナは全然平気でしょ?」
「そ、そんなことないよ~! 疲れちゃって、もう歩けない~!」
そう言うと、ルーナは俺の背中に跳び乗る。
そして、後ろからぎゅっと腕を回してきた。
「えへへ~。エノア、おんぶして~!」
「ルーナ、いきなり甘えないでよ」
「え~! エノアだって私に乗って何メートルも走らせたじゃん!」
「それを言われると確かに……というか、ルーナが虎になってみんなを乗せてくれた方が速いんじゃない?」
「だって、みんなで歩いて行きたいんだもん~」
「歩いてないじゃん……」
こんな調子で、何だかんだ賑やかに王都へと向かった。
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