第32話 ドラゴンのブレスチャウダー
全員起きたので俺はロマリアと一緒にログハウスのキッチンに立つ。
フェリは朝が弱いらしく、まだテーブルでウトウトとしていた。
「エノア様! 何でもお手伝いいたしますよ!」
「ありがとう、ロマリア。えっと、じゃあ……これの皮を剝いてくれる? 手で剥けるから」
「かしこまりました!」
「茶色い皮が無くなったら、それ以上は剥かなくて良いからね」
「はい!」
俺はタマネギを出すと、ロマリアに任せてみる。
(さて、昨日のエラスムスの肉が大量に余ってるから……)
俺はドラゴンの肉を出すと、一口サイズにカットし、鍋にバターを溶かして軽く炒める。
肉が鍋に当たる音がパチパチと鳴り、バターの香りが立ち上る。
ドラゴンの肉は熱を加えると、少し黄金色に変わり、その表面に旨味が閉じ込められていく。
「エノア様! 剝き終わりました!」
「ありがとう、ロマリア。次は包丁を使ってみようか」
「は、はい! 頑張ります!」
いきなり包丁を使わせるのは危ないので、俺はロマリアが包丁を持った手の上から手を握る。
すると、ロマリアはビクンと身体を震わせて顔を赤くした。
「そんなに緊張しなくて良いよ。気をつけてれば大丈夫。最初は俺が動かすから力を抜いて」
「は、はぃぃ……」
ロマリアの手を握って、タマネギの切り方を教えてゆく。
「よし、じゃあこれをできるだけ細かく切ってくれる?」
「は、はい!」
ロマリアに玉ねぎをみじん切りにしてもらう。
筋が良いので、そのままセロリ、ニンニクも切ってもらった。
それを鍋に加え、ドラゴンの肉と共に柔らかくなるまで炒める。
この段階で、鍋からは芳醇な香りが漂い始め、厨房全体を包み込む。
フェリも匂いを嗅いで目を覚ましたようだった。
「みんな……おはよう……」
「おはよう、フェリ。朝ごはんを作ってるから待っててね」
「うん……」
「早く早く~!」
「ルーナも手伝ってみる?」
「私が手伝ったら、料理が滅茶苦茶になっちゃうよ!」
俺は次に、ドラゴンの骨を別の鍋で煮詰めた。
濃厚なだしを取る為には骨を長時間煮込むこと必要があるんだけど……鍋の効果ですぐに出汁を取ることができた。
ドラゴンの骨から出たスープはまるで琥珀のように光り輝く。
肉や野菜を炒めている鍋にこのスープをたっぷりと注ぐと、鍋の中で素材が一つにまとまっていく。
次に、クリームと牛乳を加え、クリーミーな質感を作り上げる。
湯気が立ち上がり、スープが徐々にとろみを増し、滑らかで濃厚な質感に変わっていく。
一口味見をすると、ドラゴンの肉と野菜が絶妙なバランスを保ちながら、大地と野生の両方の恵みを感じさせる一品になっていた。
深皿に取り分けると、最後にハーブと少量のドラゴンペッパーをかけてテーブルに並べていく。
「出来たよ!」
「うわぁ~! 温かくて美味しそ~!」
肌寒い朝にぴったり、『ドラゴンのブレスチャウダー』が完成した。
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短くてすみません!
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しばらく、こんな感じで短い&緩い内容になりますが、毎日更新はできる限り続けていきますので、何卒よろしくお願いいたします!
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